【SGT】2021年開幕戦、壮絶バトルはENEOS山下健太に軍配 GT500はスープラが表彰台独占 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【SGT】2021年開幕戦、壮絶バトルはENEOS山下健太に軍配 GT500はスープラが表彰台独占

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【SGT】2021年開幕戦、壮絶バトルはENEOS山下健太に軍配 GT500はスープラが表彰台独占
  • 【SGT】2021年開幕戦、壮絶バトルはENEOS山下健太に軍配 GT500はスープラが表彰台独占

岡山国際サーキットで2年ぶりにスーパーGT開幕戦が開催(10日:予選、11日:決勝)された。この週末は好天に恵まれ、予選・決勝ともに好バトルが目白押し。今回はトヨタ、ホンダ、ニッサンの国内3メーカーが専用開発した14台のマシンによって争われる、GT500クラスの戦いに注目してみた。


昨季からレギュレーションに大きな変更がなくGT500クラスは3メーカーともに車両も継続ということで、土曜日午前中の公式練習はホンダ勢が優勢で2番手がトヨタ勢、対してニッサン勢は劣勢というおおよそ事前予想通りの勢力図となった。


■トヨタ勢が予選上位を独占


ところが予選では一転。接戦ながらもトヨタ勢が上位を席捲し、Q1はトップのNo.37 KeePerトムスGRスープラ(平川亮/阪口晴南)を筆頭に6台すべてがQ2に進出。ホンダ勢はNo16.無限NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)の5位が最高位となる。Q2でもその流れは継続し、ポールはトヨタ勢で争われることになった。


その中で抜きんでた速さを見せたのがQ1トップの37号車で、来日が果たせなかったサッシャ・フェネストラズの代役として出場した阪口がポールを奪取。その37号車とホンダ勢トップの6位No.64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)とは、約コンマ5秒の大差がついた。勢力図はここで完全に逆転した。


その要因のひとつが、好調ゆえホンダ勢が予選に向け大きなセッティング変更をしなかったのに対し、トヨタ勢は形勢を変えるためにセッティングを見直したことだと考えられる。GT500クラスにはチームの戦いと同時に3メーカーの戦いという、もうひとつの戦いの図式がある。同じメーカーのチーム同士でデータを供用するため、このような逆転劇が時々起こる。開幕戦からGT500クラスを象徴するような戦いが見られるという、実に興味深い予選だった。


こうして大まかにトヨタ、ホンダ、ニッサンの順に並ぶことになった決勝グリッドだが、レースがそのままで終わるとは誰も思わないのがスーパーGT。ましてや舞台は岡山国際サーキット。コース全長が短くコース幅の狭いコースでGT300を含め48台ものマシンが入り乱れるレースでは接触も多くなる上、セーフティカーが入る可能性も高い。波乱という要素が加わるため勝負は分からないのだ。実際今回も2度のセーフティカーが入り、2回目はピットインタイミングだったことで、ここが勝負の分かれ目となった。


■ENEOS山下健太とau坪井翔の壮絶バトル


ポールポジション37号車のスタートドライバーは代役参戦の阪口。そのプレッシャーを跳ね除け、同等のペースで迫るNo.14 ENEOS GR Supra大嶋和也にトップを譲ることなく第1スティントでの役目を果たす。そんな中32周目、コース脇に1台がストップしたことでほとんどのクルマが一斉にピットになだれ込み、ピットロード上は大混乱状態に。


GT500クラスの上位もすべてここでピットインに入った結果、37号車は4位に後退してしまった。そして、この混乱を味方にトップに躍り出たのが14号車。結果的にこのまま14号車が優勝したのだが、終盤の20周は14号車の山下健太と追うNo.36 auトムスGRスープラ坪井翔による壮絶なバトルが観客を魅了することになった。


前述の通り岡山国際サーキットでのオーバーテイクは簡単ではなく、無理に仕掛ければ接触の危険性は高い。ましてや同士討ちという最悪のシナリオを考えると、なかなかアグレッシブには行けない。


しかし若い二人のドライバーには、勝利か否かという二つの選択肢しかなかったのだろう。75周目の3度目の仕掛けで坪井はオーバーランし、追撃はここで終焉となったのだが、混乱のピットインを最もうまく乗り切ったのもトヨタ勢で結果的に勢力図は変わらなかった中、最速の2台による究極のバトルを堪能できたことは幸運だとしか言いようがない。


著者プロフィール


前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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