今週は中山競馬場でGII・AJCC(芝2200m)が行われる。
冬競馬で施行される伝統の一戦。「古豪の復活」が多いレースで、6・7歳以上の高齢馬が制した例は幾多にも及ぶ。リピーターの好走が目立つ点もこの条件の特殊性が窺えよう。
データで紐解く今年のAJCC。過去10年のデータ分析から浮かび上がったキーワードをご覧いただきたい。
1.アリストテレスは盤石ではない? 鍵は「母父ディープインパクト」
2.サトノフラッグを後押しする「馬券内率100%」データ
3.データが導く2021AJCCの穴馬候補は?
◆AJCCは過去10年で1勝の4歳馬より、好走条件にハマる古豪3頭が面白い
■アリストテレスは盤石ではない? 鍵は「母父ディープインパクト」
菊花賞で無敗の三冠馬・コントレイルをあと一歩のところまで追いつめたアリストテレス。
今年さらなる飛躍が期待される1頭で、ここは賞金加算の意味でも落とせないレースだが……出現するのは血統面でのマイナスデータ。
・母父ディープインパクト馬の中山芝2200m成績【0-0-1-15】
近代競馬において中心的な役割を担うディープインパクト。母父としてもその勢力を拡大し続けているが、こと中山芝2200mにおける相性は「最悪」の一言。
自身初の中山コースに加えて、血統面でのマイナス材料に抵触してしまう今回。1月からエンジン全開のC.ルメール騎乗と言えども、全幅の信頼を置ける人気馬とは言い難い。
■サトノフラッグを後押しする「馬券内率100%」データ
未勝利から弥生賞まで3連勝、一躍世代のトップグループに躍り出たサトノフラッグ。
クラシック戦線では思うような結果を残せなかったものの、仕切り直しの舞台は自身が得意とする中山。そんな同馬に思わず食指が動いてしまいそうな強力なデータがこちら。
・前走GI組×ノーザンファーム生産×牡馬×中山勝ち鞍あり該当馬成績【2-3-0-0】
馬券内率は驚異の100%。シャケトラやブラストワンピースなど人気を落としていた馬も勝利を飾っている「100%データ」だ。菊花賞ではアリストテレスに離されてしまった格好だが、データ面とコース適性の後押しを得られる今回は反撃のチャンスと言えるだろう。
■データが導く2021AJCCの穴馬候補は?
2017年以降、2度にわたり7人気馬が勝利を挙げているAJCC。ここでは配当妙味ある穴馬候補2頭をデータ面から取り上げたい。
穴候補1 ジェネラーレウーノ
復帰後は足踏みが続く馬。フレッシュな4歳馬相手には分が悪くも映るが、この馬で強調したいデータがこちら。
・冬の中山芝成績【2-0-0-1】
さかのぼること2年、ちょうどこの時期に行われた京成杯の勝ち馬。唯一の馬券圏外もシャケトラ、フィエールマンといった当時の古馬戦線をリードした2頭らに先着された一昨年のAJCCなら評価は下がらない。中間の追い切りも申し分なく、ここでの復活が期待される。
穴候補2 サンアップルトン
昨年春にオープンクラスの仲間入り。その後も4→6→3着と大崩れなく走っているが、イキの良い4歳馬に隠れて人気の盲点にある馬。それでも同馬にはデータの後押しがある。
・芝2200m成績【2-1-0-1】
この距離で馬券圏外に敗れたのは半年ぶりの実戦復帰だった2走前のオールカマーに限定。元を正せば未勝利を勝ち上がった際の条件は今回と同じ1月中山芝2200m……。これ以上ない条件替わりで迎える今回、波乱の使者となる匂いがプンプンと漂う。
▼競馬ストーリーテラー・田原基成の重賞分析TV「AJCC」
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。
twitterアカウントはこちら⇒田原基成@競馬ストーリーテラー