【プロレス】女優・阿川祐未がなぜ「プ女子」に リングアナという“舞台”を選んだ理由 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プロレス】女優・阿川祐未がなぜ「プ女子」に リングアナという“舞台”を選んだ理由

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【プロレス】女優・阿川祐未がなぜ「プ女子」に リングアナという“舞台”を選んだ理由
  • 【プロレス】女優・阿川祐未がなぜ「プ女子」に リングアナという“舞台”を選んだ理由

プ女子」という言葉をご存知だろうか。


今、プロレス界は女性ファンを中心に人気が再燃しており、2011年度に11億円だった新日本プロレスの売上高は、2018年には50億円を突破。2020年1月にはプロレス史上初の東京ドーム2日開催を成功させ、7万人以上が会場に詰めかけた。


かつて、高度成長期の日本国民の心を掴んだプロレスは、今ではオールドファンだけでなく、若年層の“映える”コンテンツとして、この数年で一気に再浮上している。


カードゲームや動画サービス、マンガ、コスプレ……。その楽しみ方は多岐にわたり、まさに「魅せる」というプロレス本来の魅力を、現代のファンはさまざまなかたちで堪能しているのだ。


今回、「魅せる」という意味で注目する人物が、映画や舞台で活躍する傍ら、プロレスのリングアナウンサーとして活躍する女優・阿川祐未(あがわゆみ)さん。


今秋、リング上でアクション舞台を繰り広げる「アクトリング」デビューを果たすなど、「リアル・プ女子」としてプロレス界に参入した阿川さんに、リング上から見たプロレスの魅力を語っていただいた。


■映画、舞台、テレビ…そしてリングアナへ


阿川さんは大学在学時、地元・名張市の劇団の座長にスカウトされ、女優活動をスタートさせた。当初、演劇は3年間で「やりきった」という高校時代の部活で終え、大学へ進学後は一般企業への就職を考えていたという。


「高校演劇の大会を見に来ていた方が、『使いたい』と言ってくれたのがキッカケでした。部活じゃなくて、お金をいただく商業演劇。お金を払って見に来ていただいたお客様の前で演劇をする、という場面に、初めて触れたわけですが、私がまだ知らない世界が、そこにあったわけです」


そこで“プロ”という意識が芽生えた阿川さんは、一気に女優への道を歩み始めた。ただ、舞台俳優が一流と呼ばれた昔とは異なり、映画やテレビへの出演で露出し、舞台の役を任せられるのが現代。


「まずは映画女優として、実力のある役者として認められるようになろう、と思いました。そこで認められれば、舞台のお仕事も増えていくだろう、と」


そのプランどおり、2009年の映画『INVOVE』『武士道』でのヒロイン役を皮切りに、テレビやラジオへの出演、インターネット配信番組のMCを務めるなど着実に実績を積み上げ、舞台の仕事も増えていった阿川さん。


「露出していくことで、いろいろとお声掛けいただく機会になります。リングアナウンサーになったキッカケも、私の役者姿を見た会長から、『やってみない?』とお声掛けいただいて」


現在、リングアナウンサーとして所属するGPSプロモーション・豊島会長の目に留まり、プロレスのリングという“舞台”の仕事が舞い込んできた。豊島会長は、一度は会社経営で失敗し、ホームレス状態の時期もあった苦労人。聴覚障害のレスラーや観客も楽しめるバリアフリープロレス「HERO」を立ち上げた人物であり、阿川さんは豊島会長と十年来の知人であった。リングアナ・阿川祐未のスタートはここだった。


■選手や観客の気持ちを高ぶらせるコンテンツ


リングアナウンサーのデビューは2017年3月20日、「HERO15」板橋グリーンホール大会。すでに舞台やMC、ナレーションも務めていた阿川さんにとって、プロレスのリングアナウンサーもそつなくこなせたのかと思いきや、まったく別物だったという。


「すごく緊張しました(笑)。役者モードの自分とはまったく違って、役者の阿川祐未ではなく、素の阿川祐未になっていました。素の自分を人前に出すのが苦手だったので。入場コールやウィナーコールがメインになるのですが、声の張り方も違いますし、タイミングも重要です。最初は試合のスピードについていけなくて、『え!今、勝ったのどっち!?』とアタフタしていました」


台本のある舞台とは異なり、突然場外が始まったり、試合の展開次第で観客のボルテージもガラリと変わるのが、プロレス。リングアナウンサーとしての経験を積んでいくうち、その役割が理解できたという。


「『入場コールは選手も観客にとっても、試合前に気持ちを高ぶらせるコンテンツの一つ』という話を聞いて、この選手をもっとカッコよく見せよう、ここでもっと盛り上がってもらおう、と考えながら、声の張り方や抑揚の付け方などを工夫するようになりました。リングアナの役割は、選手も観客も、その会場にいるすべての人たちに一体感を持たせることなんですよね。深い世界ですね」


それまでもプロレスは観戦していたが、自身がプロレスの運営サイドに関わることで、プロレスの見方も変わってきた。


「ゴングを鳴らすのもリングアナの仕事なのですが、つまり試合中は『今、この会場で何が起きているのか?』を見逃してはならないのです。リングアナのお仕事に携わるようになってからは、もう食い入るように試合はもちろん、リングアナの動きまで見るようになりました(笑)。プロレスって、まったく目が離せないんですよね。そういう見方に変わってきて、ハマっていく自分がいました」


■プロレスのリングという“舞台”で魅せる



プロレスを取り入れた女優の本気アクション舞台「アクトリング」では「桔梗」というキャラクターに扮して参戦



阿川さんはバリアフリープロレス「HERO」でのリングアナ、そして所属するGPSプロモーションのもう一つの興行ブランド「Growth」のリングアナ・悪斗(あくと)さんとのリングアナウンサーユニット「悪祐(あくゆう)」として活躍している。


悪斗さんは、安川結花(やすかわゆか)として、阿川さんと同じく女優であり、リングアナウンサーでもあり、そしてプロレスラー・安川惡斗としてリングに立った経歴を持つ。その惡斗さんが「Growth」大会のオープニングで実演する和太鼓演奏に感動し、阿川さんも「Growth2」からは共に前座でパフォーマンスを披露。そして、女優たちがリング上でアクションを披露する舞台「アクトリング」にも挑戦し、今秋デビューを果たした。


「女優もプロレスのお仕事も、お客様に楽しんでいただくという点では同じですよね。でも、プロレスってハマると人生を変えてしまうほどの力があるんです。会長もそうですけど、プロレスのおかげで人生が変わった、楽しくなった、という声はよく聞きます。ですので、たとえば何か嫌なことがあった日に、忘れられる空間を提供できればと思っています」


女優、リングアナ、そしてアクトリング。12月9日には「天雲草子」の公演がスタンバイするなど「リアル・プ女子」阿川祐未さんは、これからもさまざまな“舞台”でファンを魅了してくれそうだ。



取材時には捻挫の治療中だった阿川さん、まさに「体を張る女優」として奮闘中



バリアフリープロレス「HERO」
https://www.deaf-hero.com/


阿川祐未Twitter




文・山田剛(SPREAD編集長)


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