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女子卓球界「黄金世代」の一人・早田ひな選手。人気・実力ともに伸び盛りの彼女は、エース候補として期待を集める存在だ。
2019年11月16日に行われた「ITTFワールドツアーオーストラリアOP」ミックスダブルス決勝。張本智和選手(木下グループ)とペアを組んだ早田選手は、卓球王国・中国のペアを破り優勝に輝いた。
本記事では早田選手の強さや経歴、プレースタイルをはじめ、世界トップクラスに肩を並べるべく努力を重ねる姿に迫る。
高い攻撃力で「Tリーグ」初代MVPを獲得
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(c)Getty Images
2000年7月7日に福岡県北九州市で生まれた早田選手は、4歳で卓球を始めた。卓球界の名門・石田卓球クラブに通う姉の背中を追いかけたという。そんな早田選手はクラブに入ってすぐに代表から才能を見出され、著しい成長を遂げる。
全国中学校卓球大会では、13年から2年連続で女子シングルスを制覇。14年は、全日本卓球ジュニアの部で準優勝にも輝いた。卓球の強豪校・希望が丘高校に進むと、インターハイ、ワールドツアーファイナル(U21)を制すなど活躍。2018年に発足したプロリーグ・Tリーグでは2018-19シーズン、日本生命の優勝に貢献し、初代MVPを獲得した。そんな早田選手はサウスポー・長身から繰り出される強打とテンポの速い攻撃的なプレーが特徴だ。昨今流行を見せる、強烈なカーブをかける「チキータ」など細かいプレーも巧みで、その攻撃力は中国選手からも警戒されているという。
「みうみま」と肩を並べる「黄金世代」の一人
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早田選手を語る上で、「みうみま」の存在は外せない。同じ2000年生まれの平野美宇、伊藤美誠の両選手だ。3人は幼い頃から幾度となく対戦してきたライバルであり、仲の良い友達。メディアからは黄金世代と呼ばれ、何かと比較されてきた。
幼少期から数々の最年少記録を塗り替えてきた平野選手と、リオオリンピックに出場した伊藤選手の陰にやや潜んだ時期もあった。しかし、早田選手は自ら殻を破り2人に肩を並べるほどの急成長を見せる。
全日本卓球選手権女子ダブルスで伊藤選手とペア「みまひな」を組み、18年から2年連続で優勝。2019年4月28日に行われた世界選手権では、決勝戦で中国ペアに惜しくも敗れたものの、48年ぶりの銀メダルを獲得。存在感を存分に示した。
ひたむきに努力し続ける姿勢
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早田選手の世界ランキングは、2019年12月現在、日本人6位だ。2020年1月時点のポイントを基に、上位2名の五輪出場が決まる。オリンピック選考レースは1カ月を切った。早田選手は厳しい立場にある。有力選手が着々とポイントを積み上げる中、早田選手はオリンピックのテスト大会を兼ねたワールドカップ団体戦(11月)の代表を外れ、ポイントを大きく獲得できるチャンスがあるT2ダイヤモンドの出場権も逃した。しかし、早田選手は諦めていない。ポイントを獲得しようと、2019年9月に行われた「チャレンジプラス」パラグアイOPに出場。実はこの大会、移動の負担やスケジュールのタイトさから女子の上位5人の選手はエントリーを見送っていた。
早田選手自身も台風15号による交通の乱れもあり、現地に着いたのは予定の2日半遅れ。コンディションの調整をする間もなく臨んだ試合だったが、見事に優勝し結果を残した。早田選手は「できることは最善を尽くしてやろうと思った」と答えており、最後まで諦めない精神を見せている。
早田選手は、この時のことを自身のTwitterで報告。共に戦うスタッフやコーチへの感謝の言葉をつづった。
時差のある中、沢山の応援有難うございました????♀️優勝を目標に参戦した大会でしたのでとても嬉しいです☺️????フライトの調整が大変で前日着でした。コーチやスタッフの皆さんのサポートのお陰です????????有難うございました!! pic.twitter.com/KTtuPO2ROH
— 早田ひな (@hayata_hina) September 15, 2019
3人目の代表選手は団体戦メンバーとして選ばれるため、ダブルスで実績を残している早田選手にも可能性は残されている。五輪出場選手が決まる来年1月まで、力を振り絞る構えだ。
「とにかく真面目で努力家」
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早田選手は必要以上に考え込むタイプだと、彼女を子供の頃から指導してきた石田大輔コーチは語る。小さい時から自分の頭の中にある悩みや疑問をノートに書き溜めては、客観的に分析し解決してきた。
「今の自分があるのはノートのおかげ」だと早田選手が言うように、自分の気持ちを吐き出しながら卓球に活かしている。石田卓球クラブの代表である石田眞行さんも、早田選手を「とにかく真面目で努力家」「強くなるためのルールを作り、それを本気で守る」と評している。その一方で、石田コーチからは「草食系」と表現されたこともある。これは、早田選手があまり闘志をむき出しにするタイプではないことから出た言葉だ。
しかし、早田選手は試合で負けるたびに悔しさをバネにして心・技・体を鍛えてきた。2019年2月のポルトガルOPでは、過去の世界ランキングで1位になったこともある劉詩文選手(中国)を破り優勝。中国人選手に勝つという石田コーチとの目標を達成させた。現在も持ち味である「攻めの卓球」に磨きをかけている。
出身クラブの教えを胸に世界へ
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2019年の世界選手権女子ダブルスで銀メダルを獲得した早田選手は、インスタグラムでこのような言葉を綴っている。「練習は不可能を可能にする」
これは石田卓球クラブの教えであり、早田選手の原点だ。今後も諦めない気持ちを武器に、世界を相手にプレーを続けていく。