2019年1月、女子プロ野球チーム埼玉アストライアを引退する川端友紀(かわばた・ゆき)選手と楢岡美和(ならおか・みわ)選手のThanks Partyがさいたま市内で開催された。サプライズ連発のイベントの様子を写真満載でレポートいたします。
冒頭からサプライズ! あのライバルが会場に
当日はシーズンオフにも関わらずたくさんのファンの方が集まっていた。オープニングムービーが流れ、現役選手たちと参加者の方の盛大な拍手と共に川端選手(写真左)と楢岡選手(写真右)が登場。
引退発表後に二人がユニフォーム姿で現れるのは、これが初ではないだろうか。
女子プロ野球のスーパーバイザー太田幸司氏の挨拶のあと、スクリーンには京都フローラの三浦伊織(みうら・いおり)選手のコメントが流れる。そして映像が終わるやいなや、サプライズで三浦選手本人が二人の前に登場!
今度は青木宣親からのメッセージ! サプライズ連発に場内も動揺
「来ちゃった〜!」とサプライズ大成功で笑顔の三浦選手が乾杯の音頭を取り、イベントがスタート。「川端・楢岡ヒストリームービー」の上映が始まり、二人の軌跡を辿る。
ムービーの途中、突然あの超有名選手のメッセージが流れ始めた。東京ヤクルトスワローズの青木宣親選手からのものだった。
川端選手は、兄・川端慎吾選手のチームメイトでもある青木選手のことを野球人として尊敬しており、憧れから自身の背番号を「23」に選んだほどだった。
青木:「(川端のことは)背番号のこともあり、お兄さんである(川端)慎吾とチームメイトということもあり、気にして見ていました。これから先、引退されて時間もあると思うので、神宮球場へぜひ遊びに来てください! 待ってます!」
現役選手もイベントに貢献 女子プロ野球ならではの光景が
イベント中は、現役選手たちも活躍。司会進行を務めて「引退トークショー」を行ったり、ジェスチャーゲームの出し物を行ったりと、会場を大いに盛り上げた。
会場にはビュッフェが用意されていたが、配膳は現役選手たちが率先して行っていた。川端・楢岡両選手が各テーブルを回りプチギフトを渡している間も、お皿を下げたり、ドリンクのおかわりを持ってきたりと、せっせと働く姿は大変印象的だった。
涙なしには語れない 両親へのお手紙
ここでBGMは静かなものに切り替わり、川端・楢岡両選手からご両親へのお手紙が披露された。最初に読み上げたのは楢岡選手だった。
小学校1年生から野球を始め、埼玉栄中学高校で女子野球に打ち込んだ学生時代。忙しい中いつも送り迎えをしてくれたこと、毎週試合を観にきてくれたこと、結果が出なくて八つ当たりしたこと……
大学進学と女子プロ野球で迷った時もプロ入りを応援してくれたお母さん。球場にはいつもお母さんがいてくれたと、涙ながらに感謝の気持ちを伝えた。
次に手紙を読み上げたのは、川端選手。父、兄、自分が野球をやっていたので一番大変だったのはお母さんだったと思う、と語り始めた。
野球一家であるが故の苦労をお母さんが引き受けてくれたおかげで兄妹揃ってプロ野球選手になれた、と。
「まだまだ兄の応援で大変だけれど、私の分だけでも肩の荷を下ろしてね」という言葉に、母を労う気持ちが込められていた。
二人の門出を祝して
終盤には、恩師や先輩、後輩などのメッセージムービーが流れされた。当日会場に来られなかった方からのメッセージを見ると、二人のこれまでの活躍や貢献度の高さ、そして人柄が伺えた。
ムービーの中にはもちろん、家族からのメッセージもあった。
イベントの最後には、二人に花束贈呈が行われた。楢岡選手には、埼玉栄中学校・高等学校の元監督・斉藤賢明氏から。
川端選手には、三浦伊織選手から。
三浦選手は花束の他に川端選手への手紙を用意していた。
「ゆきちゃんへ」読み始めてすぐに二人揃って涙が止まらなくなってしまい、最後は子どものように泣きじゃくってしまった。
楢岡選手は6年、川端選手は9年もの年月を女子プロ野球選手として過ごしてきた。二人にしかわからない苦労があったと思う。
たくさんの興奮と感動、そして野球少女たちに夢を与えてくれた二人のことを、ファンはきっと忘れない。これからの人生も幸あらんことを心から願っている。
(写真・文 戸嶋ルミ)