ムーンサルトプレスは武藤の代表的な技のひとつだった。対戦相手をリング上で仰向けに寝かせ、自らはコーナー最上段に駆け上がる。相手に背を向けた状態でトップロープから飛び、バック宙を決めながらボディプレスで3カウントを奪う見た目にも派手な飛び技だ。
使い手は小柄で身軽な選手に多いが、武藤はヘビー級の体格でも得意技にしていた。ムーンサルトプレスへの思い入れは強く、「跳躍力もないし、不格好かもしれないけど、気持ちのこもったムーンサルトだったと思います。武藤敬司悔いなし。あれができたから、海外に出れたし、トップに這い上がることができたし、今までの武藤敬司はムーンサルトありきですよ」とレスラー人生を支えてくれた、偉大な技だったと振り返っている。
第7試合コメント(武藤)
— WRESTLE-1(W-1公式) (@W_1_official) 2018年3月14日
武藤 跳躍力もないし、不格好かもしれないけど、気持ちのこもったムーンサルトだったと思います。武藤敬司悔いなし。あれができたから、海外に出れたし、トップに這い上がることができたし、今までの武藤敬司はムーンサルトありきですよ。#w_1 #pwACE #プロレス #後楽園 pic.twitter.com/FwUSh2hJKJ
最後の試合では河野真幸にシャイニングウィザード3連発からのムーンサルトを決め、教え子をピンフォールした。何百回、何千回とマットに打ち続けられたヒザが悲鳴を上げ、決して「颯爽とコーナーへ駆け上がる」動きではなく、痛む足を引きずりながら、それでもファンに最後のムーンサルトを見せた。
「今日の後楽園ホール。生涯最後のムーンサルトプレスを決めた。グッバイ! ムーンサルトプレス!! 悔いなし」
今日の後楽園ホール。生涯最後のムーンサルトプレスを決めた。グッバイ! ムーンサルトプレス!! 悔いなし。 pic.twitter.com/Vk3085nnUo
— 武藤 敬司 (@muto_keiji) 2018年3月14日
武藤がヒザを痛めていることは、プロレスファンなら誰もが知っていることであり、最近は日常生活でも歩行に支障をきたすほどだった。人工関節手術の話は今までも何度か出たが、プロレスを続けられないことを危惧して躊躇ってきた。しかし、医療の発達により、人工関節にしても復帰できる可能性が出たことが、今回の手術に武藤を踏み切らせた。
3月15日にはブログを更新して、「武藤敬司は新たな武藤敬司として戻ってくる。まだまだプロレスLOVE」と復帰への意欲を示した。
人生最後のムーンサルトを決めた武藤にファンからは、「ムーンサルト最高でした」「ムーンサルト素晴らしかったです。初めて見たときの衝撃は忘れられません」「会場でしっかりと見させていただきました。涙が止まりませんでした」「たくさんの勇気をありがとうございます。必ずカムバック待ってます!」などのコメントが寄せられている。