27の国と地域から集まった男子85名、女子54名の合計139名の選手が参加。6日の予選では高さ5m、最大傾斜160°のクライミングウォールに設けられた5つの課題に挑戦し、完登数の多い男女各20名の選手が準決勝に進む。
ボルダリング強豪国として知られる日本は、男子の楢崎智亜(ともあ)、女子の野中生萌(みほう)ら有力選手が順当に勝ち進んだ。日本代表は男子8名、女子4名が準決勝にコマを進めている。
ボルダリング日本代表キャプテンの杉本怜も、自国開催にプレッシャーを感じつつ予選5位タイで翌日につないだ。昨年のボルダリングW杯加須大会(埼玉県加須市)では予選落ちの苦汁を味わい、その後に左肩の手術をしてW杯の戦列を離れることになった。
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今シーズンW杯開幕戦のスイス・マイリンゲン大会で復帰すると3年ぶりに決勝進出。最終的に4位に終わったが、完全復帰を裏付ける大会となった。先週行われた第3戦の中国・南京大会も6位と快調をキープしている。手術前よりもパフォーマンスが上がった手応えを自身も感じている。
「去年に比べたら格段に良くなっている。(これまでは)ケガをしそうという不安感を抱えて、脱臼を繰り返してしまったこともあった。そこがクリアーになったので今は思い切って登ることができる。気持ち的にも去年とだいぶ違う。ラクになった」
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体幹や上半身の強化のために、壁を使わない陸上でのトレーニングを積極的に取り入れるようにしたことが功を奏したようだ。
「アップの仕方ひとつにしても、今までと違う取り組みをした。それがうまく結果につながっている。現段階としては想像していた以上の結果が得られている。この調子で行きたい」
自国開催だけに『ガンバ!』と応援の声も多い。それが杉本の背中を押し、力に変える。日本代表チームについても「いい雰囲気でみんな戦えている」と頬をゆるめる。
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活躍する一方で、日の丸を背負う選手たちは八王子大会直前に日本山岳・スポーツクライミング協会から国際大会での個人スポンサー提出制限の連絡を受けている。それに対してSNSなどを通じて選手が呼びかけたこともあり、業界に不穏な空気が流れた。
有力選手たちの多くは個人スポンサーがいることがほとんどだ。そのおかげで遠征費などに悩むことなく競技に専念できる。選手たちはこれまで通り個人スポンサー提出を望む声が多いが、まだ進展の様子はない。
今大会では日本代表選手の一部はパンツに『KEEP OWN SPONSORES for PRO activity』と書かれたシールを貼って、自分たちの気持ちを伝えている。その中心にいる杉本。八王子大会が始まったこともあり、「選手同士でもまだ話し合いの途中。これから協会と選手、スポンサーとすべての人たちがいい方向に行くように活動したい」と控えめに話した。
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2020年東京五輪ではボルダリングを含む3種目による複合競技「スポーツクライミング」が正式種目に採用された。八王子大会も7日の前売り券が完売するなど、競技の発展はますます勢いに乗る。日本でのより良い競技普及のためにも、選手たちの想いと協会の考え、支援するスポンサーたちが共通の意識を持って2020年に進んでいってもらいたい。
「明日はもっとお客さんも入るから、もっと暑いんじゃないかな」
杉本も今は母国での準決勝・決勝に集中する。熱気にあふれた体育館で、日本代表選手が世界最高レベルのクライマーたちに挑む。