そのフェスティバルの中でも今、最も注目されているのが4月30日から5月7日にかけて行われている食文化のイベント「Tasting Australia」です。美味しいものが食べられるというだけでなく、生産者と消費者を繋げる架け橋としての役割も果たしています。
●昨年から毎年のイベントとして定着
イベントは約20年前にスタートし隔年に開催。オーストラリア国内でも大きな食のフェスティバルとして続けられてきました。人気イベントとして確立され、昨年からは開催は毎年に。
なぜ、それほどまでに大きなものになったのか。南オーストラリア州では、ワインとフードを愛する国民が増え、「ツアーダウンアンダー」を始めとするスポーツイベントでさえも食文化が大きく関わっています。これらの関わりが、同イベントをさらに大きなものとして成長させました。
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ワインなくして、このイベントは語れない
●今年は主体的なプログラムが多い
昨年の会場中心部では無料のセミナーやデモントレーションが多かったのですが、今年はセミナーなどの学ぶことよりも、食することを中心としたものが増え、会場では食事やワインを朝から楽しむ姿が印象的でした。
また、アデレード市内だけではなく、市街地のワイナリーでもイベントが同時開催されていることが今年の大きな特徴。
たとえば、州でもワインで名高いバロッサバレー(市内より約70km)ではイタリア料理を中心としたランチやディナーが用意され、イベントのスペシャルメニューがセレクトされています。フリンダース連峰(市内から400km)では自然の塩やハーブを使った特別メニューが用意されています。
●炭火焼が中心のイベント会場
オーストラリアの原住民によるダンスで初日がスタート。彼らの調理法はブッシュファイヤー(野草などを燃やして調理をする)が基本。アボリジニとコラボで行われているイベントということもあり、今回は特に炭火で焼くお料理が中心になっています。会場内には肉やピザなどを炭で焼く香りが漂います。
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今回は炭火で焼くお料理が中心
●新しいスキルを学ぶクラスが一日限定オープン
L(Learner) PLATESという新しいイベントがお目見えしました。一日限定クラスで、アジア・マドリッド・日本・イタリア・メキシコ・ミャンマー/ラオス・アフガニスタンの料理、そしてチーズやパンの作り方を学ぶというもの。職業訓練校がスポンサーとなり、州の中でもそれぞれの料理で活躍しているシェフが直接教えるという特別なクラスとなりました。
フェスティバル・ディレクターであるSimon Bryant氏はイベントに先立ち、こう語っています。
「今年の会場で目立っている炭火焼。この炭で焼くという調理法は、長い間使われてきた歴史がある。そして炭火で焼いたものは香りも味も格別なものとなる。古いこの手法が今の食文化に復活したことはとても喜ばしいことだ。
また、今年新しく登場したガラスハウス・キッチンでは有名なシェフたちの料理を(キッチンで食べる人だけではなく)外から見ることもできるようになっている。国内で活躍するシェフの積極的な参加により彼らのエネルギーはアデレード市にもそして南オーストラリア州にも大きな力となるだろう」
市内中心部のあるフェスティバルハブは、ほぼ毎日午前11時から夜中までオープン(月曜・火曜のみ午後2時半まで)。多くの人で街が賑わう一週間がスタートしました。