東京ビッグサイトは東京オリンピック、パラリンピックで報道機関が拠点とする「メディアセンター」として利用されることが決定しており、期間中は施設利用を制限される状況にあった。
「利用制約への対応」として、以下の2策が示された。
1、青海展示棟(仮設展示場、23,200平方メートル)の利用を当初の2019年4月~2020年3月から、2019年4月~2020年11月(東京オリンピック、パラリンピック期間である2020年7月~9月は除く)へと、利用可能期間を5ヶ月間延長。
2、西展示棟、南展示棟の利用制約期間の短縮。2020年4月~10月の制約期間から、2020年5月~9月の制約期間へと、2ヶ月の短縮。
昨年の11月20日にも青海展示棟の利用期間を延長するという発表は行われていたが、今回初めて「東京オリンピック、パラリンピック期間である2020年7月~9月は利用不可」ということが明確になった。
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2016年2月時点での東京ビッグサイト利用制約状況
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対応後の東京ビッグサイト利用制約状況
日本展示会協会はこの問題に対し、「すべての展示会を例年と同規模で開催できるよう、東京ビッグサイトと同規模の仮設展示場(8万平方メートル)を首都圏に建設」すること、及び「メディアセンターを東京ビッグサイト以外に新設すること」の2点を提案していた。
なお、同協会は豊洲新市場をオリンピック後までメディアセンターとして使用することも提案している。
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今回の説明会は非公開のものであり、メディアが内容を把握することはできなかったが、関係者によると「ビッグサイト以外にメディアセンターを移すという考えは検討したのか?」という質問が説明会では飛んだという。
この質問に対して、東京都の職員によると、「すでにビッグサイトはメディセンターとして使用するという前提。その制約の中で会場利用に善後策を検討している」というもので、東京ビッグサイトがメディアセンターとして利用されるという方針に揺るぎはないようだ。
仮設展示場である青海展示棟はビッグサイトの4分の1の面積しか持たず、この面責に比例して出展企業の数、支援企業(装飾、電気、警備、印刷会社など)の仕事量が期間中4分の1になってしまうこと、また、国内のみならず海外のバイヤーが激減することを日本展示会協会は以前より危惧している。
日本展示会協会の算出によると2020年4月からの7ヶ月間(今回の発表ではこれが5ヶ月間へと短縮)で、毎年出展している5万社のうち、3万8000社が出展できなくなり、約1兆2000億円の売り上げを失うという。その多くは中小企業であり、倒産に追い込まれる企業も多数あると予測する。
日本展示会協会の公式声明文第3号には、「小池知事による『五輪経費の削減』に敬意を表します。しかしながら経費を1千億円を削減しても、1兆円の売上が失われるなら、経費削減努力は報われない」との指摘がある。
日本の99%以上は中小企業だ。その中小企業を疲弊させ、さらには海外からのビジネス客も減少させる可能性を含む今回の問題。例年の展示会で発生していた東京都への経済効果が縮小し、結果として日本全体にとっても経済損失の発生が予想されている。
この東京ビッグサイトのメディアセンター問題、どのような方向に今後進むのか、注視する必要がある。
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東京ビッグサイト