国立代々木競技場第二体育館で1月28日~1月29日にかけて『スポーツクライミング 第12回ボルダリングジャパンカップ2017』が開催され、国内トップクライマーたちが戦いを繰り広げた。
29日は準決勝と決勝が行われ、男女各20名が参加。1641名の入場者が見守るなか、男子は大会史上初の2大会連続2度目の優勝と決めた藤井快(こころ/東京都)、女子は歴代最年少優勝を達成した伊藤ふたば(岩手県)が頂点に輝いた。
予選は5課題、準決勝と決勝は4課題で実施されたボルダリングジャパンカップ。29日はスポーツ庁の鈴木大地長官も観戦に駆けつけ、大会後に2020年東京五輪への期待を寄せた。
「ボルダリングは初めて観戦したが、演出や(会場で試合中に流れる)音楽が凝っていて楽しく観ることができた。(若手選手の活躍は)2020年東京五輪が決まってこれまで以上に強化や育成に力を注いだ結果だと思う。有望選手が出てきたことで期待ができる。暖かい目でみんなで育てて、応援していけたらいい」
ボルダリングジャパンカップの男子は過去11回の大会中、2度優勝を果たした選手は存在しなかった。実力が均衡している証拠だが、それを打ち破って連覇を成し遂げた藤井。決勝の最終第4課題ではトップに両手をかけた次の瞬間に優勝を確信して雄叫びを上げた。
「ここまで叫んだのは初めて」と試合後に笑い、連覇する選手が誕生しないジンクスは気にせずに、連破したいという純粋な気持ちで臨んだことを打ち明けた。2017年は「まずは3月の日本選手権。今年はワールドカップの年間タイトルも奪いたい」と意欲を見せた。
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第4課題を一発で決めて雄叫びを上げる藤井快
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着地してガッツポーズする藤井快
女子で史上最年少優勝の伊藤。過去の最年少優勝は、ボルダリングジャパンカップで10回の優勝を誇り日本のクライミング界を牽引してきた野口啓代(茨城県)が第1回大会で記録した16歳3カ月だ。伊藤はそれを1歳以上塗り替える14歳9カ月で達成した。
「優勝した実感はまだ湧いていない。(自分より)年下の子も出ているが、負けたくない。今年の目標はワールドユースでの優勝」とすでに世界大会経験もあるだけに言葉も力強い。
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柔軟性を活かして登る伊藤ふたば
父に連れていってもらったことがきっかけで小学3年生のときにボルダリングに出会った。長い手足と子どものころから柔らかかったという柔軟性のある体をフル活用して、憧れの存在だった野口を2位にした。
23歳の藤井と14歳の伊藤。若きふたりはこれから日本のクライミング界をさらに盛り上げ、2020年に向けて一層強くなっていくだろう。