開催初年度の2014年から吉無田高原では毎年開催。だが今年は熊本地震により開催が危ぶまれた。しかし、AKI FACTORYを中心に全国のMTBライダー、関連企業から義援金が集まり、吉無田高原のダウンヒルコースは去年と同じように復活。開催にこぎつけた。
19日(タイムドセッション)は雨でほとんどのライダーが思うように走れない。決勝20日は雨が止み、路面が乾いていくなかで試走から攻めるラインを走ろうとするライダーが多かった。
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路面の様子
吉無田高原のダウンヒルコースはは全国のコースと比べて短い。いわゆるショートダウンヒルだ。エリートクラスとプロクラスでは、スタートからゴールまで1分もかかからない。
それゆえ、ひとつのミスが命取りになる。リフトが動かない時間帯でも、各ライダーたちはミスを防ごうと「自分自身の最速ライン」を見つけに自転車を押して登る姿が見られた。
■ダウンヒルシリーズ第6戦 決勝
開催が危ぶまれた吉無田。「吉無田で走ることが再びできて嬉しい」と喜びを走りで表現する小学生・中学生ライダーが躍進する。
ひときわ目立ったのが古城栄翔だ。ワンハンドでテーブルトップ(ジャンプ台)を手を振りながらこなし、エリートクラストップタイムの田丸裕(Acciarpone bikes)にコンマ4秒差につける54秒662をマーク。古城の家族は「大阪のトレイルで武者修行したことが今回の速さにつながった」と語った。
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エキスパートクラス優勝の古城栄翔
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エリートクラス優勝の田丸裕(Acciarpone bikes)
ダウンヒルシリーズでは過去2回、PROクラス出場者が下位クラスに下克上を許したケースがあった。プロならプロの走りを見せようと、吉無田初参戦の九島勇気(玄玄/MONDRAKER)がここ一番の速さをみせる。心・技・体、バイクと一体となる走りにギャラリーは興奮。トップタイム50秒784をマークした。
最終出走者の井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)は51秒649で2位。九島が優勝を手に入れた。
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PROクラスを制した九島勇気
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PROクラス2位の井手川直樹
九島は初参戦した吉無田高原ダウンヒルシリーズについて、「全国に比べて土質が独特で、空気圧を低めにして決勝へ臨んだ。安全に行けるところは漕いだり思い切り攻める。難しい箇所は安全マージンをつくりながら丁寧にいく。コースが短いため、そんな走りを心がけた」と振り返った。
今年好調の要因は、「ここ数年海外転戦してきた。その経験が今年になって出ている。海外へ行く期間が短かくて得るものが少なさそうに思えても、その経験がここになって実を結んでいる。それが今年ワールドカップの予選通過、全日本を獲り、今回も勝てる。CJシリーズチャンプにつながったんじゃないか」としている。
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PROクラスの表彰台
吉無田開催では史上最多95名。選手の家族や保護者だけでなく、MTBに乗っている、ダウンヒルバイクを買った、レースを開催したい、どんなものか見てみたいという観客も多かった。「吉無田で再び走れて嬉しい」という思いは皆同じ、昨年以上に盛り上がり、熊本のMTBライダーを元気づける大会となった。