男子テニスのATPワールドツアー・ファイナルで11月13日、第2シードのノバク・ジョコビッチが第8シードのドミニク・ティエムと対戦した。ジョコビッチは第1セットを6-7で落としたが、続く2セットを6-0、6-2で奪い返し勝利している。
タイブレークまでもつれた第1セット、ジョコビッチは6度のセットポイントをしのぎ追いすがったが落としてしまう。しかし、第2セットは最初のゲームでブレークに成功すると、その勢いで気分が乗っていった。
「第1セットはインテンシティが高く、テニスのレベルが高かった。本当に互いにあまりチャンスを与えなかった。互いに1度しかブレークポイントがなかったと思う。6、7ポイント差から大逆転したのに第1セットを取れなかった。普通なら当然いら立つものだ。一方で自分を落ち着かせることもできたと思う。その次のことに向けて集中力をすべて集めた」
冷静に試合内容を振り返っていたジョコビッチ。だが、記者から試合中のいら立った様子や、フラストレーションを発散させるためボールをコートに叩きつけ、それが観客席に飛び込んだことを指摘されると表情が変わる。質問した記者との間で激しい言葉の応酬に発展した。
---:第1セットのあとでローラン・ギャロスのときのように、観客席へボールを打ち込む姿が見られました。誰かに当たるかもしれないなどと気にしたりしないのですか?
ノバク・ジョコビッチ選手(以下、敬称略):君らという人間はアンビリバボーだね。
---:何がアンビリバボーなんですか?
ジョコビッチ:君らはいつもそういうことを取り上げるからだよ。
---:あなたが、ああいうことを続けたら…
ジョコビッチ:僕がああいうことを続けるって?どうして退場にならないんだ?
---:なりかけたでしょう?
ジョコビッチ:退場になりかけた?まだ退場になってないということは、なりかけてはいないということだ。
---:あのボールが観客に当たったら深刻な事態になるかもしれません。
ジョコビッチ:深刻な事態。そうなったかもしれないね。O2アリーナで雪が降ることもあったかもしれない。でも、そうはならなかった。
---:自分の精神状態を気にしないのですか?
ジョコビッチ:いら立ちをコート上で示す選手は僕だけなのか?あなたはそう言っているように聞こえるけれど?
---:あなたは世界トップにランクされている選手のひとりです。
ジョコビッチ:だから?
---:私が尋ねているのは、それがあなたにとって問題ではないのかということです。
ジョコビッチ:僕にとっては問題ではない。初めてやったことではないからね。
※ ※ ※
追い詰められたところからラケットを破壊。怒りを発散することで気持ちを落ち着け、逆転する姿を何度も見せてきたジョコビッチ。その態度にはこれまでも賛否両論あり、試合中に注意を受けたこともあった。
《岩藤健》
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