Jリーガーのセカンドキャリアを考える…現役引退後の人生に向き合う | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

Jリーガーのセカンドキャリアを考える…現役引退後の人生に向き合う

イベント スポーツ
Jリーガーのセカンドキャリアを考える…現役引退後の人生に向き合う
  • Jリーガーのセカンドキャリアを考える…現役引退後の人生に向き合う
  • 野崎雅也選手(Y.S.C.C.横浜)
  • 村山智彦選手(湘南ベルマーレ)
  • 長谷川太郎氏
  • 宇留野純氏
  • 菊池康平氏
  • 高木元義氏
  • 前列左から長谷川太郎氏、村山智彦選手、野崎雅也 選手、宇留野純氏
Jリーガーで引退後のキャリアプランを考えている若手選手はどれくらいいるのだろう。

日本のサッカー選手の平均引退年齢は26才前後だという。プロ野球選手よりもはるかに短いJリーガーの選手寿命。大半の選手には、引退してから長い人生が待っている。そんな選手たちのセカンドキャリアを支援するのが、人材派遣サービスを展開する株式会社パソナだ。9月5日、Jリーガーに向けてセカンドキャリアについての研修を行った。

パソナは本社に若手Jリーガー2名を招いた。カジュアルな私服姿で現れたのはJ3のY.S.C.C.横浜に所属する野崎雅也選手と、J1・湘南ベルマーレの村山智彦選手だ。野崎選手は23歳、村山選手は29歳。年齢だけみればまだまだ若い。ふたりはなぜ、貴重なオフを割いてまで研修に参加しようと思ったのだろうか。

村山選手は、「セカンドキャリアのことなど何も知らなかった。今がよければいいと思っていたが、自分は妻と子がいる身なので、そういう安易な考えを見直そうと思い参加した」と一家の大黒柱としての意識が動機だと言う。

野崎選手は、「トライアウトを受け、そこで引退する同世代を目の当たりにしてきた。また、兄が去年結婚しサッカー選手を引退したことから、他人事ではないと感じ、参加しようと思った」と村山選手とは逆に、セカンドキャリアについて考える時間が多かったことから参加を決意した。


セミナーは小綺麗な会議室で和やかに行われた。元プロサッカー選手・長谷川太郎氏と宇留野純氏もOB視点のアドバイザーとして参加。元ボリビアプロサッカープレイヤー・菊池康平氏、パソナグループ・高木元義氏が講師として熱い指導を繰り広げた。(注:高木氏の”たか”は、はしごだか)

開始早々、ウォーミングアップと題して菊池氏から現役選手に3つの質問が投げかけられた。

(1)何歳までプレーしますか?
(2)サッカーでの目標は何ですか?
(3)サッカーでいくら稼ぎたいですか?

(3)について、ふたりとも今まであまり考えたことがないと述べてから、村山選手は「サッカーでサラリーマンの生涯年収分を稼ぎたい」と話す。新卒1年目の歳になる野崎選手は、「同世代の社会人と差し障りのないくらい」と一般社会人を意識した。

OBからのアドバイスとして宇留野氏は、練習時間以外の空き時間の活用を強く勧めた。その勧めに菊池氏も、「社会人になると自分の時間が少なくなる。海外を考えているなら、英語の勉強をしたり、業種問わず多くの人と会った方がいい」と同調した。


休憩を挟んだ第2部は、菊池氏から高木氏にバトンが渡された。

社員研修を請けもつ高木氏の講義は、セカンドキャリアへの可能性の模索となった。「サッカー以外でワクワクすること」「身近な人・物から想定される仕事について」「自分のこだわり」を書き出し、発表して自らの可能性を見出していった。

「幅を狭めず、ボンヤリとしているなら色んな人と会い、色んな話を聞くことが大切。プロサッカー選手というのは貴重な経験であり、価値のあるもの。生かすか生かさないかは自分にかかっている。色んな人と会える切符を持っているのだから自分から動くことが大事」

高木氏の語りに、現役選手は終始真剣な眼差しで耳を傾けていた。


約2時間のセミナーが終わり、村山選手と野崎選手にもその後の人生の可能性が少しずつ見えてきたようだ。

「サッカーをやってきた方々の言葉なので、重みがあった。ただサッカーだけをやればいいわけじゃない。引退後もサッカーに携わる仕事がしたいので、現役のうちにライセンスの取得や英語の勉強をしていきたい」(村山選手)

「リアルな生の声が聞けて、他人事じゃないということが実感できた。身近な人からヒントをもらい、色々な可能性を見出していきたい」(野崎選手)

セカンドキャリアについての意欲を示した後に、「現役選手として、まずはサッカーに熱中していきたい」と述べた。

自然科学者のチャールズ・ダーウィンが残した言葉がある。

「強い者が生き残るのではない。生き残るのは、変化する者である」

サッカー選手だけでなく、どの分野にでも言えることなのではないだろうか。自分自身の変化を前向きに捉えていく者だけが、生き残っていけるのだ。
《山本有莉》

編集部おすすめの記事

page top