高校野球の写真がツイッターから消えた? | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

高校野球の写真がツイッターから消えた?

スポーツ 短信
2016年、夏の高校野球は佳境を迎えている。日本の夏の風物詩、文化ともいえる高校野球。学生たちの、部活動がこれほどまでに報じられ、ファンを集めていることは世界でも異例だろう。

コンテンツとその流通については、メディア関係者なら誰しも常に頭に置いておかねばならない課題である。この点、近年のSNSの定着に対して、高校野球の写真について、具体策が展開された。

SNSの雄、Twitterで高校野球(主に甲子園)に関わる写真を展開してきたユーザーアカウントの凍結が行われているようだ。選手の接写やプレーの瞬間を美しく撮影していたアカウントで、相当数のファンがついていた。






アカウントの凍結はいわば、強制的な活動停止。再開には、Twitter側へのアプローチ、改善策の提案と実施など、凍結したアカウント保持者が、Twitter=プラットフォーマーのあらゆる要求を受け入れ、改善しなければならない。

個人がコンテンツを流通させることについて、ハードルが非常に低くなっている昨今。SNSを活用したコンテンツの流通は、過去にないレベルで活性化している。


◆メディアが主催し、メディアが流す。受け手はメディアの戦略に乗る以外方法がない

そもそも夏の高校野球は主催が新聞社、放送はNHKなどに限定されている。メディアが高校野球というコンテンツの生成から、流通まで直接管理する。

ビジネス面としてはまず、入場料収入があるが、プロ野球などに比べ、高校野球の入場料は極めて安価に設定されている。

高校野球に関わる人材/選手の確保という面については、教育の一環という建前から、なかなかビジネス面に光が当たることはないが、一定のお金と人材流動は少なからずあるとみられる。野球部に力を入れる学校側は、学校の宣伝のためにも投資をして選手を集め、鍛え、多くのファンの目にとまるよう、結果を追求する。

メディアサイドにおけるショービジネス、コンテンツの権利ビジネスとしての高校野球はどうかといえば、プロ野球などに比べ安価な入場料など、ここには大きな金の流れが発生していないとみられる。教育や部活動というアマチュアリズムが運営サイドにも浸透している結果だろうか。

《甲子園で撮った写真、ネットにアップしないで》


◆ウェブメディアは報道機関ではない

幣媒体は、ウェブでのみの情報発信を行っている。取材時、ウェブは媒体ではないとされ、問答無用で取材NGというコンテンツは数多く存在する。

《ウェブメディアがオリンピックを取材するには何から始めたら良いのか?》


コンテンツ権者が、小さなメディアへの掲載は必要ないと考え、新たな媒体を受け入れる必要はないと結論を出す。そういった考えは合理的だ。

ただ問題の根本は人と人。担当者レベルで交流が進めば信頼も深まる。幣媒体のような新たなサービスはそうした信頼を少しずつ積み上げるしかない。


高校野球というコンテンツについて考えてみると、歴史的にも長らく、高校野球に近しい人間が大きな金銭的利益を獲得することはなかった。だからこそ粛々と運営され、歴史が積み上がり、文化として根付いた。

ここへきて、ネットやSNSの浸透で、この人気コンテンツを生かして収益を上げることも含めて利用するユーザー、媒体(幣媒体も含む)が登場してきた。今回のアカウント凍結は、こうした新たな利益取得者(ただ乗り)への対策なのだろうか。

ネットの世界は広く深い。Twitterのアカウント凍結のほかにも、今後はさらなる規制が進む可能性はある。

弊媒体も常に考えねばならない問題として、メディアやコンテンツ権者がそれぞれのポジションで決断、実行していることは、ユーザー・ファンの視点で、どのような効果・価値をもたらすのかということだ。また、取り組みを俯瞰してみたときに、将来にどのような結果をもたらすかを、包括的に判断することも重要だろう。

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以下2016年8月20日12時追記

上記記事について、読者から幾つかの反応をいただいた。

主には、ツイッターの凍結アカウントユーザーは、写真権利の侵害者であるから、記事で権利侵害者を擁護するのはいかがなものか、という類のもの。

本記事は、権利侵害者を擁護するという趣旨ではなく、既存の状況にかかる、新しいサービス、ユーザーの志向に対して、メディアの立ち位置をいかにすべきかという模索状況を記載したもので、弊媒体のこれまでの取材経験に基づいたものである。

したがってツイッター社ならびに凍結アカウント所持者に取材を行った記事ではなく、今後取材を行う予定もない。

本記事ついては削除依頼もあり、一旦掲載を取り下げた。一部の読者の皆様にはお詫びを申し上げる。この度改めて追記をしていく格好で、掲載を継続し、課題を提起することができるのではないかと考えている。
《編集部》

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