プレミア・リーグ王者として新シーズンを迎えるレスター・シティに注目だ。ヨーロッパの大会へ参加する今季は、クラブ史上経験したことがない試合数を行うことになり、これまで以上に戦力補強が要となる。
昨シーズンは、目利きスカウト陣が低コストで獲得してきた選手がチームで成長を遂げ、才能を最大限に開花した。しかし、リーグを代表する選手へと成長した選手の多くが、資金力も人気もある他のビッククラブに狙われる状況となった。
■選手の流出と補強
まず昨シーズンにプレミアリーグ得点ランキング2位のジェイミー・ヴァーディが、ロンドンの人気チームのアーセナルに狙われた。交渉段階は移籍直前との報道も飛び交うなか、最終的にはレスター・シティの引き留めが成功。エース残留という最高の船出となった。しかし、中盤で縦横無尽に動き、敵の攻撃の芽を紡いできたエンゴロ・カンテが、チェルシーへの移籍を正式発表。これをきっかけに、主力選手の流出が今後相次ぐ可能性が出てきた。
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ジェイミー・ヴァーディ (c) Getty Images
カンテ流失に備えて、もちろんレスター・シティも対策を打ってきた。フランス・ニースから、同ポジションで元U-21フランス代表ナンパリス・メンディとの契約に成功。レスター・シティの監督を務めるクラウディオ・ラニエリ監督が、フランスのモナコでの監督時代に、メンディは中心的な選手としてプレーしていたことから、昔の絆が生きた移籍と言える。
小柄な体格に関わらず無尽蔵の運動量とボール奪取能力の高さは、カンテと似たタイプの選手だが、新天地でどう生きるか。今シーズンは注目点だ。
■奮起を期待したい岡崎慎司
そして日本人ファンが何よりも気になる点は、あの奇跡のプレミアリーグ制覇を成し遂げたレスター・シティいた日本人選手、岡崎慎司の今後である。プレミアリーグデビューとなった岡崎は、同リーグ11試合連続ゴールの新記録を打ち立てたヴァーディの相棒として、リーグ制覇の立役者のひとりとして絶大な評価を受けている。
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岡崎慎司 (c) Getty Images
しかし、重要な場面で見せたのは、オーバーヘッドのゴールを含めた5得点のみ。フォワードとしてはやはり物足りない。岡崎自身も再三、得点に関するコメントを発しているだけに、ドイツのブンデスリーガ時代に見せたシーズン二桁得点の再現に期待したい。
そんななか競争力の高いプレミアリーグ、そしてヨーロッパの大会に挑戦するチームは新戦力の補強を選んだ。7月8日にロシアのCSKAモスクワから、ナイジェリア代表アーメド・ムサを、クラブ歴代最高額となる1600万ポンド(約21億円)で獲得したと発表。早速、英国紙が来シーズンのスタメンを予想している。
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クラウディオ・ラニエリ監督 (c) Getty Images
4-4-2、4-3-3、3-5-2、4-2-3-1とレスター・シティの4つのフォーメンションのスタメン予想をしているが、いずれの予想にも残念ながら岡崎の名はなかった。昨シーズンの賛辞がまるで嘘のような、厳しい評価だ。もし、レスター・シティが優勝していなければ、スタメン失格の烙印をすでに押されていたのかもしれない。
昨シーズンの勝利の方程式でシーズンをスタートするのか。はたまた、新戦力を開幕戦から使ってくるか、ラニエリ監督の采配から目が離せない。
シーズン開幕1週間前に、FAカップ優勝チームと聖地ウェンブリー・スタジアムで行われるコミニュティー・シールドで、彼らの全貌が垣間見られるだろう。岡崎にはケガなくトレーニングをこなし、開幕スタメンにまず立ってもらいたい。