6月11日に埼玉スタジアムで行われたサッカーJ1リーグ戦15節「浦和レッズvs鹿島アントラーズ」の試合後、決して許されない出来事があった。
試合は、2-0で鹿島アントラーズの勝利。その鹿島の選手の1人でもあるカイオ・ルーカス・フェルナンデス選手が、サポーターからとんでもない一言を放たれていた。
ブラジル生まれのカイオ選手は、2011年に千葉国際高等学校に留学するため来日。
そして、2014年に鹿島アントラーズに入団し、外国人選手としては史上初のベストヤングプレーヤー賞を受賞した。
そんな彼の夢の一つは、日本代表としてオリンピックに出場すること。
今年の秋には「5年以上日本に住所を持つ」という日本の帰化条件を満たす予定。帰化すればカイオ選手は夢に大きく近づく。
そんなカイオ選手が浦和サポーターと想定される人間から、人として許しがたい発言を受けた。カイオ選手はすぐに反応を示し、自己の見解を示す。
世の中には,この様な人は不必要である、差別や偏見を持つ人この方は可哀想で未熟だなぁ.僕は黒人であり,自分の誇りでもある.神様がこの人を許して欲しいと思うし,この人が自分の人生にもっと愛情を持って欲しい僕は黒人であることは誇りだからね pic.twitter.com/4frqjgcBFb
— Caio Lucas (@7CaioLucas) 2016年6月11日
決して許されるツイートではない。
カイオ選手が自ら反応を示し、「こういったことをしてはいけない」と世の中の人に対して啓蒙している。
浦和レッズでは、過去にも同じような事件があった。
2014年3月に埼玉スタジアムで行われたJ1リーグ第2節「浦和レッズvsサガン鳥栖」の試合で、差別的な内容の横断幕が掲げられていた。
ゲートの入り口に貼り付けられた「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕・・。
それは警備員の注意にもかかわらず、試合終了まで掲げられていた。
浦和レッズDF槙野智章選手も、この横断幕に憤りを覚え、下記のようにツイートしている。
今日の試合負けた以上にもっと残念な事があった…。
— 槙野智章 (@tonji5) 2014年3月8日
浦和という看板を背負い、袖を通して一生懸命闘い、誇りをもってこのチームで闘う選手に対してこれはない。
こういう事をしているようでは、選手とサポーターが一つになれないし、結果も出ない… pic.twitter.com/Nhasgg4LjZ
この一件にJリーグは浦和レッズに対して、1試合の無観客試合の制裁を科した。
こちらの動画は、その無観客試合の様子。
サポーターの人種差別的な行動は、自分が応援しているチームにも迷惑をかけている。これを誤った行動と言わず、何と言うのだろうか。
今回のツイートで、浦和レッズから鹿島アントラーズへと謝罪の電話もあったそう。このように1人の不用意な発言がことを大きくしている。
誰の力にもならない勝手な言葉が浦和サポーターの品位を下げ、カイオ選手本人はもちろん、浦和の選手やスタッフなど多くの人に迷惑をかけている。
何より人種差別は絶対にあってはならない。「スポーツを応援することと、人種差別することは全く違う」そう気付いていればこんな悲しい事件は起きないはずだ。