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HATAGO井仙のフロントに「SAKURA QUALITY」のサインプレートを掲示
  • HATAGO井仙のフロントに「SAKURA QUALITY」のサインプレートを掲示
  • 「HOP STEP JAPAN.com」の宿泊施設紹介ページでSAKURA QUALITYの品質認証を表示
  • UNDISCOVERED JAPANにSAKURA QUALITYの説明を掲載
  • 雪国観光圏のエリア
  • 16年4月時点で認定されている13の観光圏(観光庁資料より)
  • SAKURA QUALITY品質認証に向けて施設内の英語表記を徹底
  • 井口智裕氏
 外国人観光客が日本を訪れるにあたり、宿泊施設の選択にあたって注目されているのが、第三者による評価だ。中部圏社会経済研究所の調査によると、“宿泊施設カテゴリー別に格付け”を「非常に重視する」、または「ある程度重視する」と答えたのは全体で91.3%。しかし、日本では海外と違い、近年まで観光認証制度が存在しなかった。

 このような状況に対応すべく、09年に設立されたのが観光品質認証制度「SAKURA QUALITY」である。これは、宿泊施設とアクティビティが、料金に見合うだけの品質であることを認証したもの。これをいち早く導入したのが「雪国観光圏」だ。

■認証制度で上がった顧客満足度

「国境の長いトンネルを抜けたもう一つの日本」をブランドコンセプトとし、“雪国=スノーカントリー”の魅力を国内外にPR。新潟県の魚沼市などの3県7市町村を圏域とする「雪国観光圏」では、11年9月から宿泊施設においてSAKURA QUALITYの導入を開始した。

 12年9月時点で、SAKURA QUALITYの認証を受けたものは、全宿泊施設のうちの約1割に当たる50軒まで増えた。雪国観光圏の代表理事を務める井口智裕氏が営む、湯沢町にある旅館「越後湯澤 HATAGO井仙」もその一つだ。

「日本には宿泊施設の品質を客観的に評価する基準がないため、外国人にとっては宿泊先を選びにくく、結果、外国人の足が遠のいてしまうのではないかと感じていました。SAKURA QUALITYは1~5の星印で品質を表せます。外国人は、どの程度の料金でどのようなサービスを受けられるのかを星の数で判断できるようになり、利用客が増えるのではないかと考えたのです」

 雪国観光圏における外国人客数の推移は、12年の3万7882人から15年の5万5757人へ増加した。そこには、SAKURA QUALITYによる、一定の効果があったと明かす。

「以前は、宿泊料金と施設・サービスの質が合わないといった類のクレームがあったのですが、SAKURA QUALITYの品質認証によってこうしたクレームは大きく減りました。星の数によって宿泊料金と施設・サービスの質のバランスを理解し、その上で利用する外国人客が増えたのだと思います」


■インバウンドに対する基礎体力をつける

 SAKURA QUALITYは星の数で品質を認定するが、「これは決して格付けや序列を表しているのではありません」と強調する。むしろ、「2つ星の宿泊料金と施設・サービスを探している外国人が、2つ星の宿泊施設を探し出せる」ことにSAKURA QUALITYの意義があるという。

 また、「英語で品質を表示しますので、少なくとも英語で対応してくれている。英語が話せるスタッフがいる宿泊施設だということがわかるだけでも、外国人客にとっては大きな価値があるようです」と井口氏は指摘する。

 SAKURA QUALITYの品質認証ではハードとソフトの両面から、19分野312項目で評価を受ける。当然、一定の品質を保持していなければ認証は受けられないため、どの施設も品質の向上に努める。つまり、各施設が品質の向上によって競争力を高められることも、またSAKURA QUALITYに取り組むメリットだという。

 実際、井口さんが営むHATAGO井仙では品質認証を受けるにあたり、ハードとソフトの両面で事前に項目をチェック。その結果、看板や表示の英語表記が意外と徹底されていなかったり、駐車場の場所はわかりにくくてきちんと案内しきれなかったりと、さまざまな改善点が見つかったという。

「ただし、星の数が多ければ良いという単純な話ではありません。例えばハード面で品質を高めようとすればそれだけのコストがかかりますので、要するに、その宿泊施設がどの品質なり星の数なりを目指すのかが重要なのです」

■自分の宿の品質を自ら宣言する

 品質認証を受けた宿泊施設では、桜をかたどり星の数を示した「SAKURA QUALITY」のサインプレートを掲示。また、雪国観光圏の情報を海外へ発信するサイト「HopStepJapan.com」において、各宿泊施設を紹介するページで施設の星の数をサインプレートと同様に表示している。

 また、15年11月に、13の観光圏とのアライアンスにより「UNDISCOVERED JAPAN」というサイトを開設。これは各観光圏の魅力を海外へPRするサイトだが、ここにもSAKURA QUALITYに関する情報を掲載し、海外からの誘客に役立てていくという。

 井口氏はSAKURA QUALITYの今後の活用において、こうした海外へのPRだけでなく、外国人利用者からの声を反映させることを課題として挙げている。また、将来性について次の点に触れた。

「日本全体で訪日外国人観光客数が増加している中、一定規模のホテルや旅館はある程度のインバウンド効果を得つつあります。しかし、小さい規模の民宿のような宿泊施設では外国人客はまだまだ少ないのが現状。ですが、外国人客の中には地元地域の人々との触れ合いを求めるケースもあり、こうしたニーズに応えられるのがまさに民宿なんです」

 SAKURA QUALITYの品質保証を受けるということは、インバウンドの受け入れにあたり、自分たちに何が足りないかを知る良い指針になる。その上で宿が受け入れる顧客が、どの層にあるかを宣言することになるというのが、この品質保証の面白いところだ。

 インバウンドの中には、ラグジュアリーな体験を求める人もいれば、田舎暮らしの触れ合いを求める人もいる。顧客満足度を向上させ、ツアー会社などに売り込むには、他の施設との差別化が重要だ。その宣言をSAKURA QUALITYでいち早く行いたい。

【オリンピックと業界認証:3】ホテル・旅館業編

《加藤/H14》

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