2004年から3大会連続パラリンピックに出場する車いすランナー・副島正純が9月5日、東京・有明で車いすマラソンへの想いや、今後の意気込みを『副島正純車いすレースディレクター講演会』で語った。「車いすと出会い、これまで以上にいろいろ挑戦できるようになった」という。
車いすマラソンは、3輪の競技用専用車いす「レーサー」に乗り、両腕で後輪(2輪)をまわし、前輪(1輪)でハンドリングしながらタイムを争う競技。副島は筋肉隆々の腕に触れながら、「ひとりで走ってるわけじゃない」と話す。
「マラソンを走るのは自分との戦いであることはもちろんだけど、ゴールの700m手前あたりからは、自分が走るというよりも、沿道の観客をはじめ、これまで出会った人たちが、背中を押してくれているという感じ」
どん底をさ迷っているとき、車いすのレーサーと出会い、子どもたちと触れ合うにつれ「自分の存在価値やオレの居場所がある」と実感したという副島。「車いすと出会う前は、日本一や世界一になれるなんて思ってなかった。まさか自分が世界で戦うアスリートになるなんて、と。いま、同じ目標を持った子どもたちと出会い『自分も強くなれるかな』って感じてくれたとき、『あっ、ここに自分の居場所があったんだ』と、感じられた」と振り返った。
「リオ五輪でメダルを目指す」という副島は、6月に「東京マラソン車いすレースディレクター」に就任。10回目の記念大会となる「東京マラソン2016」から、車いすマラソンレースは国際パラリンピック委員会(IPC)公認大会として開催される。そのディレクターに抜擢された副島はこう意気込んだ。
「東京マラソンは、いろんな人にチャンスをくれる場。気がついて振り向くと、若い選手もいる。日本の選手が海外強豪と戦える場となるこの東京マラソンで、同じトラックを走る彼らと、この大きなチャンスを共有したい。世界のトップ集団に入りたいと思って戦ってきたから、この"国際化"はすごく大きな第一歩。この2016年大会から、『東京に行きたい!』と海外選手も思ってもらえるはず」
《大野雅人》
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