【ルマン24時間 2015】アウディ・トヨタ・ポルシェ・日産、各社威信かけたハイブリッドマシン対決開幕 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ルマン24時間 2015】アウディ・トヨタ・ポルシェ・日産、各社威信かけたハイブリッドマシン対決開幕

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伝統のルマン24時間耐久レースが6月10~14日にかけてフランスのルマンにあるサルト・サーキットで開催される。

すでに現地サルト・サーキットには各チームのマシンが運び込まれ、ルマン市内リパブリック広場で恒例となっている公開車検では今季参戦するチーム・ドライバーが一同に会し、早くも熱気に包まれている。そして(日本時間)10日23時からフリー走行が開始。そのまま2日間かけて計3回の予選が行われ、決勝は(日本時間)13日22時にスタートが切られる。

すでにエントリーリストも発表されている通り、LMP1ハイブリッドクラスにはトヨタ、アウディ、ポルシェ、日産と世界を代表する4メーカーが四車四様のハイブリッドシステムを擁して参戦。ここまで自動車メーカーが最高峰クラスに軒を連ねるのは1999年(当時は6メーカーが参戦)以来のことだ。

注目は1999年以来に本格参戦を果たす日産。アメリカで開発が続けられてきた『GT‐R LM NISMO』がいよいよ登場。LMP1では異例とも言えるフロントエンジンに前輪駆動というシステムを採用。F1経験者のマックス・チルトンをはじめ松田次生、ミハエル・クルム、ルーカス・オルドネスなどSUPER GTで活躍するドライバー、さらに今話題の「GTアカデミー」出身の若手ドライバーも起用し3台体制で臨む。このうち松田、オルドネス、マーク・シュルツイスキー(GTアカデミー出身のロシア出身)が乗り込む21号車は、25年前に同地で予選ポールポジションを獲得した『RC90CK』を模した青をベースとしたカラーリングが施されている。

先月31日に行われた公式テストではライバルから遅れをとってしまったが、グループCカー時代などで培った経験が本戦ではきっと役立つだろう。マシンやドライバーなど新たな試みが多い分、いきなりトップ争いに加わることは容易ではないかもしれないが、予選からライバル相手にどんな走りをみせてくれるのかが注目。

ルマンでは総合6連覇がかかるアウディ勢。さらに進化を遂げた『R18 e-トロン クワトロ』の3台体制。WECシリーズ戦では昨年のルマン王者でもあるマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組の7号車が開幕2連勝と好調。今回も有力候補の1台であることは確実。そこにチームメイトであり最大のライバルでもあるルーカス・ディグラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組の8号車との激しいトップ争いも観られそうだ。

昨年ポールポジションを獲得し決勝でも力強い走りをみせていたトヨタ勢。シリーズ戦ではライバル勢に遅れをとっており、特に第2戦スパ・フランコルシャンでは度重なるアクシデントとトラブルに悩まされ2号車(アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ)の5位が最高と低迷。先日の公式テストでも7番手タイムが最高と「今年のルマンは苦戦するのではないか?」と不安の声も聞こえてくるが、良いニュースも少なからずある。その一つが、昨年日本人初のポールポジションという快挙を成し遂げた中嶋一貴の復活だ。

彼は第2戦のフリー走行中に大クラッシュ。脊椎損傷という重傷を負い、当初ルマン参戦は絶望的と言われていた。しかし退院以降も積極的にリハビリを重ね31日の公式テストに参加。怪我の影響もほとんど感じさせず、正式に出場が決定した。今やチームの精神的支柱でもある一貴の復活は、間違いなくトヨタ勢にとって追い風になることだろう。アウディ、ポルシェともに手強い相手ではあるが、総合優勝の可能性はゼロではない。

そして、復帰2年目を迎えたポルシェ勢。今年は3台目の19号車に現役F1ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグを起用。戦闘力が上がった『919 ハイブリッド』で勝負に臨む。今年は好調アウディ勢に迫る走りを開幕戦から披露しており、第2戦では予選トップ3を独占。決勝もロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組の18号車が2戦連続で2位表彰台を獲得。ルマン公式テストではティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンドン・ハートレー組の17号車がトップタイムを記録。昨年は重要な場面でトラブルに見舞われたポルシェ勢だが、この1年でしっかりマシンを進化させルマンに帰ってきた。ワークス復帰2年目での総合優勝も十分に有りうる。

実は、4メーカーのワークスチームがルマンで顔を合わせるのは、これが初めて。一体、どのチーム、どのドライバーが(現地時間)14日15時のゴールラインを一番最初に駆け抜けるのか。今年も一瞬たりとも目が離せないレースとなりそうだ。
《吉田 知弘@レスポンス》

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