3月に開幕した2015年のF1世界選手権は舞台をヨーロッパに移し、今週末は第5戦スペインGPがバルセロナにあるカタロニア・サーキットで開催される。
ここまで4戦を終えメルセデス勢が好調。前年王者のルイス・ハミルトンが3勝を挙げ、ドライバーズランキングでも93ポイントで首位独走。僚友のニコ・ロズベルグが27ポイント差で追いかけている。一見、昨年同様に彼らの独走状態になっていると思われがちだが、今年はそうではない。名門フェラーリが復活の狼煙を上げ、毎回トップ争いに加わっているからだ。
2010年から4年連続でチャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルが新加入。さらに昨年の不振を受けチーム首脳陣もほぼ総入れ替えを行い、新体制で今シーズンに臨んでいる。今季仕様のマシン『SF15-T』はプレシーズンテストから好調。第2戦マレーシアGPでは巧みな戦略でメルセデス勢を圧倒。ベッテルがチームに1年10か月ぶりとなる勝利をもたらした。
その後も、ライバルの先着を許すレースが続いているものの、タイム差は昨年と比べると格段に縮まっている。第4戦バーレーンGPでは終盤に素晴らしい追い上げを見せたキミ・ライコネンが2位表彰台。これもあと5周あれば順位が入れ替わっていたかもしれないという内容。結果だけを見ればメルセデス勢がリードしていることは間違いないが、アドバンテージは昨年と比べると小さなものになっている。
そして今週末からヨーロッパの開催地を転戦していく通称「ヨーロッパラウンド」。序盤戦の遠征ラウンドと異なり、チームの本拠地と開催地が比較的近いため、アップデートした新パーツもリアルタイムで導入することも可能。こういった理由から、過去にもヨーロッパラウンドでタイトル争いの流れが一気に変わることもあった。
前回から2週間あったインターバルで両陣営ともマシンを大幅に見直してきたことは確実。メルセデス勢がリードを引き離して独走状態を築くか、それともフェラーリ勢がポイント差を縮め完全に2強争いに持ち込むか。その流れを作る大事な初戦が今週末のスペインGP。両陣営の動きから目が離せない。
《吉田 知弘@レスポンス》
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