現在30歳のデッケルは、若いころは地元オランダの強豪プロチームのラボバンクで活躍し、ティレーノ~アドリアティコやツール・ド・ロマンディで総合優勝を挙げた。
しかし、その後ドーピング違反で出場停止処分を受けてしまう。復帰後はガーミン・シャープなどに所属した。2014年末にガーミン・シャープとキャノンデールが合併すると選手枠から外され、2015年は所属チームがなかった。
デッケルは、2015年2月25日にメキシコでアワーレコードに挑戦し、52.211kmのヨーロッパ記録とオランダ記録を樹立。だが、オーストラリアのローハン・デニス(BMCレーシング)が持つ世界記録52.491kmには届かなった。
その後もデッケルに対する契約のオファーはなく、引退を決意。デッケルは過去の過ちを悔いつつ、自らの心境を明らかにした。
「数週間、注意深く考えた。選択肢をひとつひとつ検討した。自分の心に問いかけた。そして今、決心した。自転車競技をやめる」
「僕はサイクリストとして多くのことを経験した。勝利も敗北もあった。挫折し、再び立ち上がった。若いプロ選手のころは、あらゆる犠牲を払ってでも勝ちたかった。それが僕の長所だったが、同時に僕が陥った罠だった」
「ここ数年は自転車レースで勝つ以上に、人生にはより重要なことがあると気づくようになった。そして自分の過去をオープンにし、若い選手に自分と同じミスをしないように警告した」
「サイクリストとして最後の1時間は、メキシコでのアワーレコード挑戦だった。まだ速く走れることを証明したかったし、まだ自分が自転車選手でいたいのか知りたかった。今の答えは、僕にとってはっきりしている」
「新たなステップの準備はできている。そこに自転車はない」
投稿 by Thomas Dekker.