CHELSEAの開幕ダッシュでスタートした2014-2015イングランド・プレミアリーグ。勝ち点3差で追う、MANCHESTER CITYの2強体制で2015年を迎える事になった。
◆旧2強体制から新2強体制へ
1995-1996シーズンから2003-2004シーズンまでの約10年間、赤いユニホームを着たMANCHESTER UNITEDとARSENALがプレミアリーグを制してきた。その中にはARSENALが無敗優勝を遂げたシーズンもある。しかし約10年前から、プレミアリーグの勢力図は変わってきた。
近年は豊富な資金源を得て生まれ変わった、CHELSEAとMANCHESTER CITYが優勝争いを行っている。CHELSEAは2005-2006シーズンにプレミアを制し、2011-2012シーズンには、MANCHESTER CITYが44シーズンぶりにリーグを制覇した。
◆CHELSEA、厚い選手層に安定した戦力
この10年間、毎年安定した戦いを見せるCHELSEA。
プレミアリーグ・ベストプレーヤーの呼び声も高いCHELSEAの10番EDEN HAZARDを筆頭に、今シーズン加入してきた選手達が大活躍。まずはARSENALでキャプテンも務めたプレミア経験者のCESC FABREGASが、FC BARCELONAから加入。
その彼からの多くのアシストも含め、早くも13ゴールを決めているFWのDIEGO COSTA。 そしてFABREGASと中盤でコンビを組む、守備のNEMAJA MATIC。一度はCHELSEAでポジションを奪えず移籍したが、ポルトガルのBENFICAでの活躍が認められ再びCHELSEAへと加入。出戻り組のTHIBAUT COURTOIS。レンタル先のスペインリーグで優勝を経験し、大成長を遂げて戻って来た彼は、長年正ゴールキーパーとして君臨してきたPETR CECHを退け正GKとして活躍し、守備力に定評にあるCHELSEAの守備を確固たる物としつつある。
さらに、再加入したDIDIER DRAGBAがベンチで控えるように、スタメン以外の選手がでてきても、チームバランスがなかなか崩れない彼らの陣容から、2014-2015はCHELSEAのシーズンと言えるかもしれない。
◆MANCHESTER CITY、AGUEROを中心に破壊力ある攻撃陣は健在
首位CHELSEAを1ゲーム差で追いかける、MANCHESTER CITY。早々にELIAQUIM MANGALAとFERNANDOや不可解なレンタル移籍でFRANK LAMPARDを獲得したものの、近年のUEFA(Union of European Football Associations / 欧州サッカー連盟)が掲げるファイナンシャルフェアープレー制度の為に、これまで見せていた目立った移籍は少なかった。が、昨シーズンのプレミアリーグを制したチームは安定した勝ち点を積み重ね、虎視眈々と首位浮上を狙う位置につけている。
何と言っても、ここまで14ゴール決めているSERGIO AGUEROの安定感は目を見張るものがあり、彼を支えるDAVID SILVAとYAYA TOUREを含めたリーグ最多得点を誇る攻撃陣を止める事は難しい。リーグ優勝4回とは言え、近年の優勝2回を経験した実力者達が集うMANCHESTER CITYは、今季の後半戦の戦い方も十分熟知しているだろう。
◆MANCHESTER UNITED、2015年1月の移籍動向に注目
そしてリーグ制覇20回の名門、MANCHESTER UNITED。この10年間で勢いを強めてきた青の勢力を抑え、過去5回プレミアを制しているリーグを代表するチームが、ALEX FERGUSON監督が退いて迎えた2013-2014に、まさかの7位でシーズンを終了。ヨーロッパのカップ戦への出場を逃してしまい、これまでの栄光が地に落ちてしまいかねない大失態となった。
今シーズンは、ヨーロッパの名門チームの監督、そして2014年ワールドカップでオランダ代表監督を務めたLOUIS VAN GAALを監督に迎え、これまでMANCHESTER UNITEDが見せた事がない大補強に打って出たが、チームとしの成熟差に欠けた戦いが続き、前半戦は首位に10ポイント差で3位に追走しているのがやっと。
シーズン半ばにある1月の移籍市場でも多いにファンを賑わせる可能性がある。
◆ARSENAL、経費縮小の時期を乗り越え次世代化
2003-2004シーズンに無敗優勝を遂げたARSENAL。残念ながら、そのシーズンから一度もプレミアリーグを制する事ができていない。
2006年6月に、これまで使用してきたハイベリースタジアムに別れを告げ、2006-2007年シーズンより6万人強収容できるエミレーツ・スタジアムを新たな本拠地としたが、スタジアム建設に莫大な費用がかかった為、チームは経費縮小の若手主体のチームへと移行。その影響で、チームはなかなか優勝する事ができなく、毎シーズンキープレーヤーが移籍していく問題へと発展し、継続性の欠けるチームへとなっていった。
長く続いたスタジアムの支払いに別れを告げ、2013-2014シーズンにはクラブ最高額とも言われる移籍金でMESUT OZILが加入し、9年ぶりにFAカップを制する事はできた。
今シーズンにもALXIS SANCHEZを迎え入れたが、守備の安定感に欠く結果が続き、CHELSEAに13ポイント離されての5位で新年を迎える。
近年ARSENALは多くの怪我人に悩まされ、それが選手層の薄さに拍車をかけている状況を解決する為に、今シーズンから10年間ドイツ代表で理学療法士を務めたSHAD FORSYTHEのサポートを得ているが、未だ解決できずにいる。年明けから徐々に戻ってくる選手達の活躍で巻き返しに期待したい。
◆LIVERPOOL、今季の優勝遠のく
昨シーズン、誰もが予想する事ができなかった大旋風を巻き起こしたLIVERPOOL。
1960年代半ばから1980年代にかけ、3連覇(1978-79・1979-80・1981-82)を含むリーグ優勝18回の名門復活劇には多くのプレミア・ファンが心を踊らせただろう。
しかし、開幕前にプレミアリーグ得点王のLUIS SUAREZが、FC BARCELONAに移籍。そのSUAREZとコンビを組み、シーズン24得点をたたき出したDANIEL STURRIDGEは、前半戦の大半を故障で欠場し、3試合出場でわずか1ゴール。 SUAREZの移籍金で得た多くの選手は活躍せず、特に期待されて移籍してきたMARIO BALOTELLIは未だプレミアリーグ無得点とは裏腹に、ピッチ外でのプライベートの問題がつきない活躍ぶり。
首位から18ポイントも離された今、リーグ優勝18回を誇る名門復活は今シーズンもお預けとなりそうだ。
◆乱世を迎えつつあるプレミアリーグを制すのは
ヨーロッパの他リーグとは違い、多くのビッククラブが存在するイングランド・プレミアリーグ。毎シーズン、5チーム(ビック5と呼ばれる)全てがしのぎを削り、シーズン終了間際まで数チームの優勝争いが続くという点だ。
1月1日から始まる2014-2015シーズンの後半戦では、勢いに乗った青の勢力に対して、赤の勢力の巻き返しに期待したいところ。旧2強から新2強時代となり、そして戦国時代を迎えつつあるプレミアリーグに一層注目だ。
《Takaharu Osako》