テニスのATPワールドツアー・ファイナルは大会7日目が行われ、男子シングルス準決勝で錦織圭とノバク・ジョコビッチが対戦した。試合は世界ランキング1位のジョコビッチがセットカウント2-1で勝利し、3連覇を目指し決勝に臨む。
現役最強の王者を、あと一歩のところまで追い詰めた。
第1セット先にサービスゲームをブレークされた錦織は、ジョコビッチの威圧感を前にわずか23分でセットを落としてしまう。続く第2セットも、いきなり第1ゲームをブレークされてしまう錦織。ジョコビッチはこの大会まだ1セットも落としてないどころか、サービスゲームをブレークされたことすらない。
為す術なく敗れるかに思われたが、ここから錦織の反撃が始まる。
第2ゲームをジョコビッチのミスもありブレークバックした錦織は、互いにサービスゲームをキープし続け第8ゲーム、再びジョコビッチからブレークを奪う。1セットでジョコビッチから2度のブレークを奪い、続く第9ゲームを強烈なサーブでキープする。
6-3でついに錦織が第2セットを奪い、1-1で追いつく。集中力を増す錦織。対称的に第1セットのようなキレがなく、威圧感が感じられないジョコビッチ。このまま一気に逆転すると誰もが信じて疑わなかった第3セット。
錦織の勢いは長く続かなかった。
ジョコビッチのサービスから始まる第1ゲーム。錦織は40-15とし、ブレークできる大きなチャンスのなか、ブレーク失敗。ジョコビッチにこのゲームをキープされてしまう。トップ選手同士の戦いでも些細なきっかけから、一気に試合の流れが傾き大勢決まってしまうテニス。ブレークに失敗したことで錦織にかかった“魔法”が切れた。
第2ゲームをブレークされると、第4ゲームも続けてブレークされる。ジョコビッチが復調したわけではない。第1セットに見られた圧倒的な強さはなかった。それ以上に錦織が失速した。
第2セットでエースを奪ったサーブは決まらず、ストロークもネットにかかる。磨き上げてきたバックハンドもアウト。失った流れは取り戻せない。最後もダブルフォルトで試合終了となった。
それでも男子シングルスでアジア人初出場、ベスト4の快挙にファンは惜しみない賞賛を贈る。
「錦織圭が凄すぎてもう 今までお母さんと余韻にひたってた」
「チャンスはあったんだけどね!残念錦織君次回頑張って!!」
「勝ったのはジョコビッチだけど、第2セットは完全に錦織のターンで面白かった!」
「次は世界一取れよ!」
「このシーズン本当に錦織圭選手には夢をたくさんもらった」
最後は自滅に近い形でシーズンを終えた錦織。実力が通じたこと、通じなかったこと、課題も浮き彫りとなった2014年シーズンを終え、いよいよ来年は世界のトップ5として戦うことになる。
目指すはグランドスラムでの優勝。世界王者の座も射程圏内にとらえている。
《岩藤健》
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