それは3年前のある日のこと。坂を上っている最中に乾いた破裂音が耳に届き、サドルが少し沈み込みました。パンクかと思って自転車を止めると、信じられない光景を目にすることに。
それが冒頭に掲げた画像です。さすがに乗り続けることはできず、引き返して歩くこと3時間。途中で運よくクルマに拾われ、駅にたどり着くことができました。
さらに遡ること20年前。クラブの行事に参加して坂を下る途中、掛けた前ブレーキのワイヤがすっぽ抜け、カーブを曲がりきれないまま縁石にぶつかり、笹やぶに投げ出されました。幸い体にはかすり傷一つなかったものの、前輪とフレームがひん曲がり、やはり乗り続けられなくなりました。このときは近くの民家で電話を借りてタクシーを呼び、駅まで運んでもらいました。
まあ、これほどのことはめったにありませんが、その場で対処できないトラブルに見舞われたときはどうすればいいでしょうか。その1つの解となるのがロードサービスです。クルマやオートバイでは当たり前のシステムも、自転車向けにはほとんどありません。au損保の自転車向け保険「じてんしゃ Bycle」(バイクル)が付帯サービスとして取り入れているもの、東京都心に展開する「Cy-Qサイクル・メンテ」、そしてNPO法人のシクロツーリズムしまなみが愛媛県と協働で運営する「しまなみ島走レスキュー」ぐらいでしょうか。このほか出張修理をうたうサイクルショップもありますが、バイクル以外はいずれも地域限定となっています。
この事業への新たな参入を目指すのが、ジャパンベストレスキューシステム(JBR)の「サイクルプラス」です。その中身はバイクルとほぼ同様。トラブルが生じた際に24時間365日対応するコールセンターに連絡を入れれば、スタッフが現場に駆けつけてくれます。バイクルでは10km圏内(プレミアムサービス加入者は20km圏内)の希望する場所までの搬送となりますが、サイクルプラスは軽微であればその場で修理し、甚大なもののみ搬送となります。そして、そのために修理対応の可能なショップのネットワーク構築を目指し、協力店を募っています。
一方でサイクルプラスは、自転車メーカーやショップが自社(店)のサービスに組み入れることも見込んでいます。購入した自転車にロードサービスが付くのは、特に初心者にとってありがたいものでしょう。JBRはユーザーとショップ、さらにメーカーをロードサービスの輪でつなぐ、ハブとしての役割を担おうとしているのです。とはいえショップもメーカーも、数が集まらなければビジネスとして成り立ちません。集まったら集まったで、質を担保する必要も生じます。もちろんそんなことは、はなからわかっているでしょうが…。
なお搬送に限れば、au損保はロードサービスを手がける企業に委託、JBRはクルマとオートバイのロードサービスをすでに手がけているとのことで、それぞれ実績が裏付けられています。
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