筆者は無類の本好きである。山好きの本好きであるから、当然山の本も好きである。
近年は、山に関する本がわんさかと出版されている。これは、ひとつの登山ブームの象徴といえよう。そのわんさかと出されている山の本の中から良い本を選ぶ方法は、ずばり立ち読みするしかない。(本屋さんの迷惑にならぬ程度に)その上で、これはいいと思った本を購入するようにしている。
◆初心者だからこそ、本で知識を深めよう。
まず、順序としては、登山のイメージから入る。山を題材とした小説や漫画などが適材だ。「山を登る」という行為に対し、一種の憧れのような良いイメージを持つことが目的である。それは、すなわち目標となり、長く山を楽しむ要因になると思う。
小説や漫画で、登山という行為に夢と希望を見出せたならば、ハウツー本を読んで山についての知識を深める。山という自然は、人に素敵な景色と体験をもたらすが、反面、死という存在が身近に感じられるような危険も持ち合わせている。軽い気持ちで登ると、思わぬ事故に遭遇することになり、周囲の人に迷惑をかけてしまう。それを避ける為にも、正しい知識と準備をしてから挑みたい。当然ながら、より詳しく書かれている本が良い。初心者には、写真やイラストが多く入ったものがわかりやすくて良いだろう。
最後に、山のガイドブック。どこの山に登るのか、それによって買うべき本は当然変わってくる。茨城県の山を中心に登っている筆者は、山と渓谷社の「茨城県の山」を愛読している。このシリーズは、都道府県別に発行されており、地元の山を登りたい方にお薦めである。他にも、季節に適した山が紹介されている本や、初心者が登れるような山を集めた本も出版されている。コースタイムや標高差、駐車場の位置、登山コースの険しさ、周辺の施設などが細かく書かれていると便利だ。
◆たまにはちょっと趣向の違う山の本を。
数ある山の本の中でも、筆者が特に好んで読んでいるのが、交通新聞社の「日帰り山さん歩シリーズ」である。この本は通常のガイドブックとは趣が違う。山についてのデータが書かれているのは同じであるが、その本文ともいえる文章が、「私的」であるのだ。登山紀行文のような形で綴られており、その山に興味がなくても、読んでいるだけで楽しめる。ひとつの物語を読んでいるような感覚だ。
小説や漫画、ハウツー本、ガイドブックに紀行文。山の本にもいろいろある。登る山について知ることは、危険回避の為だけでなく、より登山を楽しむ為の重要要素でもある。自分の登山レベルと用途に合わせて、改めて山の本を選んでみてはいかがだろうか。
《久米成佳》
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