【小さな山旅】初心者におすすめしたい山の本の選び方…山の道具(4) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】初心者におすすめしたい山の本の選び方…山の道具(4)

オピニオン コラム
「はじめての山登り」的なハウツー本は、登山実践前には必ず読んでおくこと。山登りにもルールやマナーがある。それらを守らないと、我が身を危険にさらすことになる。
  • 「はじめての山登り」的なハウツー本は、登山実践前には必ず読んでおくこと。山登りにもルールやマナーがある。それらを守らないと、我が身を危険にさらすことになる。
  • 山を題材にした小説や紀行文は、山へのモチベーションを上げてくれる。山岳小説を数多く世に残した新田次郎さんの小説と、世界で初めて五大陸最高峰登頂者となった植村直己さんの本。リアルな描写にドキドキさせられる。
  • いわずと知れた山岳救助漫画「岳」。作者の石塚真一さんは、筆者と同じ茨城県出身。筆者の山への情熱を呼び起こした作品である。
  • 登る山を決める時、決めた後に必ず読むべきなのがガイドブック。登山ルートや交通情報、コースタイムなど、山を歩く上で必要な情報が詰まっている。写真右は、山と渓谷社から出ている県別の登山本。茨城の山を主に登っている著者は、毎回この本で登る山を探している。写真左の本は、メイツ出版発行の関東近郊の山ガイドブック。季節に適した山が紹介されており、便利!
  • あの「散歩の達人」を発行している交通新聞社の「日帰り山さん歩」シリーズ。他のガイド本と違い、紹介文が個人の視点によって語られている部分が大きい。読んでいると、山を旅したくなる本。
  • 山やアウトドアの雑誌も特集によって購入。最近は、この手の雑誌が非常に増えた。右から山雑誌の大御所「山と渓谷」、日本のアウトドア雑誌をリードしてきた「ビーパル」、登山初心者向けの山雑誌「PEAKS」、特集の切り口が斬新なアウトドア雑誌の新鋭「Fielder」。
  • 元、山渓出身のフリー編集者、若菜晃子さんの本。「街と山のあいだ」をコンセプトとした「murren(ミューレン)」を始め、女性や初心者でも山に親しめるような内容の本が多い。その豊かな山の経験と、ほっこりさせてくれる文章が魅力。何を隠そう、筆者は大ファンである。
  • 山専門誌でなくても、特集や別冊で山を取り扱うこともある。案外、切り口が斬新でおもしろい。総合スポーツ誌「Number」の別冊「Number Do」での切り口は「山旅」。シンプルな暮らしを提案する「考える人」では、山の文化的側面を特集している。
筆者は無類の本好きである。山好きの本好きであるから、当然山の本も好きである。

近年は、山に関する本がわんさかと出版されている。これは、ひとつの登山ブームの象徴といえよう。そのわんさかと出されている山の本の中から良い本を選ぶ方法は、ずばり立ち読みするしかない。(本屋さんの迷惑にならぬ程度に)その上で、これはいいと思った本を購入するようにしている。

◆初心者だからこそ、本で知識を深めよう。

まず、順序としては、登山のイメージから入る。山を題材とした小説や漫画などが適材だ。「山を登る」という行為に対し、一種の憧れのような良いイメージを持つことが目的である。それは、すなわち目標となり、長く山を楽しむ要因になると思う。

小説や漫画で、登山という行為に夢と希望を見出せたならば、ハウツー本を読んで山についての知識を深める。山という自然は、人に素敵な景色と体験をもたらすが、反面、死という存在が身近に感じられるような危険も持ち合わせている。軽い気持ちで登ると、思わぬ事故に遭遇することになり、周囲の人に迷惑をかけてしまう。それを避ける為にも、正しい知識と準備をしてから挑みたい。当然ながら、より詳しく書かれている本が良い。初心者には、写真やイラストが多く入ったものがわかりやすくて良いだろう。

最後に、山のガイドブック。どこの山に登るのか、それによって買うべき本は当然変わってくる。茨城県の山を中心に登っている筆者は、山と渓谷社の「茨城県の山」を愛読している。このシリーズは、都道府県別に発行されており、地元の山を登りたい方にお薦めである。他にも、季節に適した山が紹介されている本や、初心者が登れるような山を集めた本も出版されている。コースタイムや標高差、駐車場の位置、登山コースの険しさ、周辺の施設などが細かく書かれていると便利だ。

◆たまにはちょっと趣向の違う山の本を。

数ある山の本の中でも、筆者が特に好んで読んでいるのが、交通新聞社の「日帰り山さん歩シリーズ」である。この本は通常のガイドブックとは趣が違う。山についてのデータが書かれているのは同じであるが、その本文ともいえる文章が、「私的」であるのだ。登山紀行文のような形で綴られており、その山に興味がなくても、読んでいるだけで楽しめる。ひとつの物語を読んでいるような感覚だ。

小説や漫画、ハウツー本、ガイドブックに紀行文。山の本にもいろいろある。登る山について知ることは、危険回避の為だけでなく、より登山を楽しむ為の重要要素でもある。自分の登山レベルと用途に合わせて、改めて山の本を選んでみてはいかがだろうか。
《久米成佳》

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