6月29日、ベルギーのワレヘム近郊にあるウィールスベーケで開催されたベルギー選手権へと足を運んでみた。ベルギーといえば、エディ・メルクスを筆頭に、自転車ロードレースの歴史に名を残す超一流選手を数多く輩出している自転車大国だ。
そのベルギー選手権、レースよりも観客たちに目がいった。みんな普段着で買い物に行くような出で立ちだ。自転車ジャージを着ている人はごくわずか。そもそも自転車に乗って来ている人も少ないようだった。
ゴールから少し離れた広場には巨大スクリーンが設置されており、レース後半からはテレビ中継が流された。テレビ中継はバイクカメラからの映像はもちろん、ヘリコプターによる空撮もある。
みんなビールを片手にスクリーンの映像を観ながらのんびり観戦している。コース脇で応援する人もいれば、友人たちと談笑しながら少し遠くから眺める人もいる。
ベルギーの観客というと『熱狂』というイメージがあったが、そんなことはなく実におだやかだ。自転車ロードレース観戦が特別なものではなく、ちょっと近所へピクニックに来たような感じだろうか。
レースは周回コースで行われたため、何度も選手が目の前を通過する。観客はおだやかと書いたがゴール付近のファンは選手が来るたびに、コース脇の看板をバンバンとたたく。これはヨーロッパのレースではおなじみだ。
子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代の観客がハンバーガーやビールを片手にレースを楽しんでいた。そのゆったりとした様子こそが、本場の観戦スタイルなのだろう。
《五味渕秀行》
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