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シクロクロス世界選手権を日本代表の荻島がレポート

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 1月26、27日にイタリアのトレビソで開催されたシクロクロス世界選手権は、エリート女子レースでハンカ・クッファナゲル(33=ドイツ)が優勝。日本代表としてレースに挑み、日本勢最高位の31位でゴールした二児のママ、荻島美香(36=アライレーシング)が戦いを振り
  •  1月26、27日にイタリアのトレビソで開催されたシクロクロス世界選手権は、エリート女子レースでハンカ・クッファナゲル(33=ドイツ)が優勝。日本代表としてレースに挑み、日本勢最高位の31位でゴールした二児のママ、荻島美香(36=アライレーシング)が戦いを振り
 1月26、27日にイタリアのトレビソで開催されたシクロクロス世界選手権は、エリート女子レースでハンカ・クッファナゲル(33=ドイツ)が優勝。日本代表としてレースに挑み、日本勢最高位の31位でゴールした二児のママ、荻島美香(36=アライレーシング)が戦いを振り返った。

 私が自転車競技に復帰してから、3度目となる世界選手権。
 06年のゼッダムは、自転車に乗り始めて4カ月ほどでの挑戦だった。落車によるヒザの負傷と、レース前々日の試走中に滑って肋骨にヒビが入る負傷をしながらの参戦。どん底を見ました。それでも、完走できたのです。
 その時知りました。
「もう、これ以下はあり得ない…」と。

 そして迎えた07年のホーグレーデ・ヒィッツ。自分が世界のどこの位置にいるか試したかったレースでしたが、メカトラブルで後退し、それが分からずに終わった。

 そして、今回のトレビソが復帰3度目の自分を試すときとなった。スポンサーのおかげで、自転車も世界レベルに並び、申し分なし。あとは、自分のコンディションのみに賭けていた。

 今年は、いろいろな人の援助で、W杯はミラノを除く6戦に参戦できた。それは、私にとって大きな収穫となった。

 トレビソ入りしてからは、自分のリズムを崩さぬよう心がけた。それは、世界選手権の緊張感から自分を見失わないためだ。

 コースを熟知することも大切なことだったが、やりすぎてはいけないと思い最小限に抑えた。それは、普段出ているレースと変わらない自分のリズムを守るため。

 スタート前に、「自転車は完璧で、自分が試せる。そして、転ばないようテンポを守り、周回の看板を見た時に、体の力が抜けませんように」と考えていた。調子が悪いと周回したくなくなるからだ。

 スタートは、第1コーナーが左折だったので、右後ろのラインに着く。左側はインを突く選手で詰まるからだ。レースがスタートすると私の予想通り詰まっていて、私は、スピードをさほど落とさずに進んだ。
 無理をせずに流れにまかせ、踏めるところで踏み、転ばないよう心がけた。そして今季初めて使用したDugastのタイヤのグリップが私の走りを助けてくれた。

 コースは、朝方降りた霜が太陽の日差しで溶け始め、転倒する選手が続出した。転ぶとタイムロスはもちろん、次にそこを回ってきた時にどう対処していいのかわからなくなり、テンポが乱れてしまう。

 カナダの選手とやりあっていたが、慎重に路面と闘っている間に行かれてしまった。観客の歓声も耳に入っていたし、子供たちの応援もしっかり見えていた。そして、1番熱い応援は、ピットにいたスタッフで、その声援は、私にパワーを与えてくれた。

 本当は、乗り味の違う自転車を換えたくなかったが、そのようなことを言っていられなくなるほど粘土質の泥がこびりついていて、換えざるをえなかった。
 でも、ダブルピットになっていたので、半周で交換し、そのあとはゴールまで乗り続けた。

 結果は31位。欲をいえばW杯での今季最高が25位だったから、それを目標にしていたが。さすがに甘かった。

 優勝は、昨年の世界選手権ロードタイムトライアル覇者、ドイツのハンカ・クッファナゲル。最後尾からのスタートにもかかわらず、シクロクロス今季2戦目にして2位まで上り詰めたオランダのマリアネ・フォス。3位には、終始安定していた走りを見せた、フランスのローラン・ルブシェ。

 自転車復帰して3年目にしてやっと世界の中の私の位置が計れたし、これでやっと世界へのスタートラインへ着いた気がする。
 決して飛躍はできないけど、コツコツ積み上げて上を目指して頑張ろうと決意させてくれる世界選手権となった。

 フルサポートして下さったスタッフの方々に、本当に感謝の言葉でいっぱいです。ありがとうございました。
《編集部》

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