
10月2日から愛知県の三好カントリー倶楽部 西コースでバンテリン東海クラシックが開催される。
注目は6月の日本ゴルフツアー選手権で国内メジャー3勝目(2022年日本オープンのアマ優勝を含めると4勝目)をあげた蟬川泰果。
日本ツアー開幕前の米下部ツアー参戦中に肋骨を疲労骨折して出遅れたが、賞金ランキングは5位につけている。
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日本ツアーでトップ10を5試合連続で継続中。最近8戦を見ても優勝を含めトップ10に7回入っており、安定感が高い。1試合あたりの獲得賞金524万2607円は日本ツアーを主戦場にしている選手の中ではトップ(※)であることからも、それがわかる。
バンテリン東海クラシックは過去2大会に出場し、いずれもトップ15。好相性を感じさせており上位進出に期待できる。
(※)米ツアーを主戦場にしている金谷拓実は、今季日本ツアーに2試合出場しており内1試合で優勝。1試合あたりの獲得賞金は1000万円。米下部ツアーを主戦場にしている金成玹は今季日本ツアーに1試合出場しており獲得賞金が525万4740円。

男子プロゴルフツアー賞金ランキング
■過去2大会トップ15
バンテリン東海クラシックは初出場の2023年大会が13位、24年大会が11位タイ。2大会連続でトップ15に入った。
23年大会の第1ラウンドは10アンダー。パット数は1位。グリーンに乗ればほぼ1パット、とも言えるプレーを見せた。
ただ、グリーンと抜群の相性か、と言えばそうではない。23年大会の第2ラウンドはパット数が88位タイ。4ラウンドトータルの平均パット数は、23年大会は19位で24年大会は50位だった。
大会、コースとの好相性を支えているのはショットの安定性。4ラウンドトータルのパーオン率は23年大会が7位タイ、24年大会が8位タイ。蟬川自身、構えやすいホールが多いコース、と感じているのではないだろうか。
■大叩き減か
蟬川はバーディ率やイーグル率が高い。賞金王を争った2023年は、バーディ率が2位でイーグル率が1位だった。ただ、パーキープ率は10位で向上の余地があった。
そして今季現時点のバーディ率は5位で、パーキープ率が7位。平均ストロークは23年と同じ3位だが、23年よりも出入りが激しくないゴルフを見せている。2個あったトリプルボギー以上も現時点では0だ。
このあたりも高いトップ10率につながっているのだろう。
■前のめりにならず、賞金王争いへ
十分に賞金王を狙える位置にいる蟬川。ダンロップフェニックス終了時点で賞金ランキング1位になれば、米ツアー予選会に最終ステージから挑戦できる。
だが、海外志向があるものの、今季の米ツアー予選会挑戦や、来季の欧州ツアーや米下部ツアーを含めた海外挑戦は考えていないようだ。
だから、それらの挑戦権を得ても、現状は行使しない意向を示している。
この前のめりにならない姿勢がプレーに良い影響を与え、現在の安定した成績につながっているのではないだろうか。
パーキープ率の向上や、大叩きホールの減少を見ると、以前よりも無理にバーディを狙いに行かなくなっているのかもしれない。
気になるのがラウンドごとの平均ストローク。予選カット前が4位、第3ラウンドが16位タイ、第4ラウンドが42位。ラウンドが進むにつれて伸ばしきれていないのだ。
好相性を感じさせているバンテリン東海クラシックでは、この傾向を打ち消すように、決勝ラウンドで“タイガチャージ”といきたいところだ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。