
トレード期限が31日(日本時間8月1日)に迫る中、注目選手の1人だったエマニュエル・クラセ投手(ガーディアンズ)が、MLBからスポーツ賭博調査の一環として非懲戒処分の有給休職を課せられた。期間は8月31日(同9月1日)までで、これで事実上トレード市場から名前が消滅。各球団の補強方針も変更を余儀なくされそうだ。
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■“売り手”に回る可能性が高まる
MLBは28日(同29日)、「スポーツ賭博に関する調査の一環で、クラセ投手を懲戒処分が伴わない有給休職にした」と発表。クラセは昨季まで3年連続でセーブ王に輝いたガーディアンズの守護神で、今夏のトレード市場でも目玉とされてきた。
今後の処遇は調査次第となるが、現時点で離脱期間は来月31日に及ぶことが決定。事実上、トレード市場からその名前が消えたことになる。これを受けて、米スポーツメディア『The Athletic』の敏腕記者、ケン・ローゼンタール氏は「クローザーのクラセが休職に入ったことで、ガーディアンズは単に重要なトレード要員を失っただけではない。これは、ガーディアンズが“買い手”として動く可能性を完全に消し、むしろ右腕のシェーン・ビーバー投手やスティーブ・クワン外野手をトレードに出す可能性を高めることになった」と指摘した。
ガーディアンズは現在、ア・リーグ中地区で2位につけているものの、首位タイガースとは9差。ワイルドカード争いでも6位となっており、ポストシーズン進出は危機的状況。そこで、同記者はクラセの離脱をきっかけにチームは方針変更をすると予想。今夏は“買い手”になることをあきらめ、来季に向けてチーム再建の道を選択すると踏んだ。
■風雲急を告げるトレード市場
同記者はクワンに関心を示しているチームとして、ドジャース、ブルージェイズ、フィリーズ、パドレスの名前を挙げた。ガーディアンズがトレード容認姿勢をとれば、争奪戦が一層熱を帯びることは必至。MLB公式サイトも「クワンは当初、放出候補に含まれていなかった。しかし、クラセを巡る報道を受け、ガーディアンズはトレード期限目前で方針を変えるかもしれない」とし、「チームはクワンのトレードも含め、ロースター再編の検討を迫られる可能性がある」と言及した。
“安打製造機”の異名をとるクワンは、守備も一級品でメジャー屈指の左翼手として活躍。このため、ドジャースは打率1割台に沈むマイケル・コンフォート外野手の代役として獲得を狙っていると伝えられている。
手に入れるには相当な対価が必要だが、ガーディアンズが“売り手”に回った今こそ、買い時となる可能性もある。トレード期限まで残り3日を切った中で発生したクラセの離脱。どんな影響が出るのか、移籍市場は風雲急を告げている。
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