
10日からフランスのエビアンリゾートゴルフクラブで5大メジャーの内の1つ、エビアン選手権が開催される。昨年大会は古江彩佳が制し海外メジャー初優勝。今回は日本勢の連覇がかかる。
注目は岩井明愛。今季が米ツアールーキーイヤーとなる岩井は現時点でポイントランキング35位、ルーキーオブザイヤーポイントランキング4位となっている。
優勝争いの末の2位が2度あるなど堂々の成績と言えるが、双子の妹千怜はすでに米ツアー初優勝を達成していることもあり、これまでの成績は本人にとって満足いくものではないだろう。
昨年大会は初出場で10位タイ。相性の良さを感じさせており、これまでの鬱憤を一気に晴らすように、ルーキーイヤーでの初優勝がメジャー、という快挙を達成することは十分に考えられる。
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■メジャーの中でエビアンと好相性か
岩井は今季これまで開催されたメジャー3大会すべてに出場。シェブロン選手権はトータル4オーバーで44位タイ。全米女子オープンは8オーバーで45位タイ。全米女子プロは8オーバーで29位タイだった。
昨季、5大メジャーすべてに出場し、エビアン選手権の10位タイはメジャーの中で2番目に良い成績だった。
昨年大会の古江の優勝スコア19アンダーが示すように、エビアン選手権は全米女子オープンや全米女子プロなど他のメジャーに比べてハイスコア決着になることが多い。
岩井にとっては、耐え続けることを強いられる戦いよりもバーディ合戦は大歓迎だろう。
バーディかそれより良いスコアになる確率は今季現時点(7月6日時点)23.98%で、ネリー・コルダ、ジーノ・ティティクル、キム・アリム、エンジェル・インに次ぐ5位。全米女子プロを制したミンジー・リーよりも上位である。
今季2戦目のホンダLPGAタイランドでは最終日に61を叩き出し、トータル27アンダーで1打差の2位に入ったこともそれを示している。

岩井明愛2024年のメジャー成績
■SGティートゥグリーン7位
岩井のバーディ獲得率の高さを支えるのがショット力。
フェアウェイキープ率の93位が気になるが、ドライビングディスタンスが37位で飛ばし屋揃いの米ツアーの中ではまずまずの順位。
パーオン率は7位で、トータルドライビング順位とパーオン率順位を合算したボールストライキング順位は17位だ。
グリーンを狙うショットのスコア貢献度を示す、SG:アプローチは今季現時点で6位。ティーショットからグリーンに乗るまでのスコア貢献度を示す、SG:ティートゥグリーンを見ても7位となっており、米ツアートップレベルのショット精度であることがわかる。
■ツインズ初“メジャー”タイトルなるか
岩井自身が昨年大会で10位タイに入っており、相性の良さを感じさせているが、エビアンリゾートゴルフクラブは日本勢と好相性。
2021年大会は古江が3位タイ、22年大会は西郷真央が3位タイ、23年大会は畑岡奈紗と笹生優花が3位タイ、そして24年大会は古江が優勝。
日本勢が4年連続トップ3に入っているのだ。
コースとの相性だけでなく最近の米ツアーでの日本勢の存在感の高まりを合わせて考えると、今年も誰かがトップ3に入るだけでなく、複数の日本選手による優勝争いの可能性もあるのではないだろうか。
岩井は日本ツアーで通算6勝をあげているが、日本メジャーを制したことはない。日本ツアーで通算8勝をあげている千怜も、日本メジャータイトルと縁が無い。
ツインズとしての初のメジャータイトル獲得はエビアン選手権となるかもしれない。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。