
東京での開幕シリーズも終え、いよいよ本国での正式な開幕を迎える2025年度のMLB。ワールドシリーズ連覇に向けて積極的な補強を続けたドジャース、フアン・ソト外野手が流出した穴を埋めるべく「プランB」で野手、投手ともに充実の補強を見せたヤンキースなど、ストーブリーグの動きも非常に活発だった印象をうける。
そんな中、MLB公式サイトが発表した記事「Starting Pitcher Power Rankings, Opening Day edition(開幕戦先発投手パワーランキング)」では、記者が投票したアンケートをもとに今季の開幕投手のランク付けが公開されている。
各球団のエースたちが名を連ねているが、最も前評判が高い投手は誰なのか、開幕目前のリアルな評価を確認していこう。
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■10位~6位、日本人投手も選出
10位:今永昇太(カブス)
東京シリーズでカブスの開幕投手を務めた今永昇太投手が10位にランクイン。昨シーズン、新人王投票だけでなくサイ・ヤング投票でも5位にランクインするなど、最高のデビューイヤーとなった。寸評では「デビュー戦の良いニュースはヒットを与えなかったこと、悪いニュースは4四球を与えて4回で降板したこと。多くの投手が今年、ドジャース戦では同じような経験をするだろう」と述べられているように、最強ドジャース打線を相手にしてのピッチングとしては悪くない内容だったのではないだろうか。
10位タイ:ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)
ジャイアンツのローガン・ウェブ投手が同率10位にランクイン。打たせて取るグラウンドピッチャーの代表格として知られるウェブ。投手有利のオラクルパークを本拠地としていることも有利に働いているが、データで見てもその支配力は一目瞭然。「サンフランシスコの投手として20.5イニングに1本しかホームランを打たれておらず、2年連続で200イニングを投げている」と、耐久性も抜群。他の投手に比較して球速がやや足らないという意見もあるが、球界屈指のスターターとして今年も期待できそうだ。
9位:フランバー・バルデス(アストロズ)
今シーズン終了後にFAとなるフランバー・バルデス投手。3年連続でサイ・ヤング投票を受けるエリート左腕は、主力が続々と移籍し“帝国”が崩れかかっているアストロズの中心としてどこまで活躍できるだろうか。過去3シーズンで2度防御率2点台を記録している安定感を今季も発揮できるか? チームのために、そして自身の大型契約のためにも大切なシーズンとなるだろう。
8位:山本由伸(ドジャース)
東京シリーズでカブスを5回1失点に抑えた山本由伸投手も8位にランクイン。昨年の韓国シリーズでは不安定なデビューだったものの、シーズンが進むにつれメジャーにアジャストしていった。「ドジャースが3億ドル以上を投じたことも理解できる実力をみせた」と語られるように、夏場の怪我で2か月ほど鮮烈を離れたが、プレーオフでしっかりと活躍しストロングフィニッシュを見せた。2年目の今季は2桁勝利を達成し1年間ローテーションを守り切りたい。
7位:ローガン・ギルバート(マリナーズ)
投手王国マリナーズの開幕投手をつとめるのが、ローガン・ギルバート投手。投手有利の本拠地Tモバイルパークでは防御率2.49と、特に支配的な投球を見せた昨シーズン。勝利数こそ9勝に終わったが、208.2回を投げ奪三振220、WHIP0.89はキャリアハイの数字。「デビューから3シーズンで最低でも毎年32試合に先発し、平均以上のERA+を記録した耐久性と信頼性がある」と語られるように、今季も抜群の安定感でローテーションの一角を担う。
6位:コール・レイガンズ(ロイヤルズ)
ドラフト1巡目での入団後、2年連続でのトミージョン手術を経験するなど苦労人のイメージが強いコール・レイガンズ投手。2024年は初めてフルーシーズン稼働するとオールスターゲームに選出された他、ア・リーグのサイ・ヤング投票で4位になるなど飛躍の年となった。「防御率3.14、223奪三振とプレーオフ進出チームの先発ローテーションの主軸として活躍した」と評されるように、昨シーズンのロイヤルズ躍進の立役者であるレイガンズ。今季はさらなる進化がみられるか注目したい。
■TOP5、メジャー最高の開幕投手に選出されたのは?
5位:ギャレット・クロシェ(レッドソックス)
「クロシェは東海岸に来てすぐに、セールの成功に匹敵できるだろうか?」と記者達も話題に上げるほど、注目度の高いレッドソックスのギャレット・クロシェ投手。ホワイトソックスからトレードで移籍したクロシェだが、先発としての稼働は昨年が初。121敗という歴史的な低迷となったホワイトソックスにいながらも、6勝12敗、防御率3.58、WHIP1.07と安定した成績を残すなど、その能力には非常に定評がある。実際にスプリングトレーニングでは5試合に登板、15.2回で防御率0.57と圧倒的。激戦区ア・リーグ東地区で逆襲を狙うレッドソックスの鍵となる。
4位:クリス・セール(ブレーブス)
2024年、衝撃的なバウンスバックをみせたのがクリス・セール投手。29試合に先発し18勝3敗、防御率2.38、225奪三振、WHIP1.01という成績で投手三冠を達成。自身初となるサイ・ヤング賞を受賞した。「2024年の成績だけであれば、さらにランキング上位になる」と語られるように、懸念点はまもなく36歳という年齢。しかしながら、健康さえ保てれば球界でも圧倒的な投手の1人であることは間違いないだろう。
3位:ザック・ウィーラー(フィリーズ)
球界ナンバーワンとの呼び声も高いザック・ウィーラー投手。「キャリア初期こそ怪我に悩まされたが、過去7シーズンでは絶対的な存在」と評価されたように、メジャーリーグ全体で7位の先発回数、2位の投球回数&勝利数、3位の奪三振数、そしてWARでは堂々の1位と文句のつけようのない成績。34歳と年齢も重ねてきたが、20代より30代のERA+の方が優秀と、いまだに進化を続けている点も注目だ。
2位:ポール・スキーンズ(パイレーツ)
2024年は衝撃的なルーキーイヤーを送ったポール・スキーンズ投手。5月にアクティブロースター入りしメジャーデビューを飾ると、23試合に先発しm133回で11勝3敗、170奪三振、防御率1.96、WHIP0.95の成績で見事新人王に輝いた。「2024年も圧倒的だったが、22歳の彼の成績はまだまだ表面をなぞっただけのように感じられる」と評されるように、まだまだ進化の途中。シーズンを完走してどのような成績を残すのか楽しみだ。
1位:タリク・スクバル(タイガース)
ア・リーグ投手三冠を達成したタリック・スクバル投手が堂々の1位。「この左腕は明らかに球界最高の投手」と評価されたように、23年に故障者リストから復帰した後の46登板で25勝7敗、防御率2.51、330奪三振と圧倒的な数字を残している。“ピッチング・カオス”と呼ばれるブルペンデーを多用する苦しい台所事情だったタイガースにおいて、唯一の軸となった最強左腕。28歳とまだまだ若く、怪我さえなければ2年連続のサイ・ヤング賞も夢ではない。
トップ10に選ばれた2人の侍以外にも、エンゼルスでは菊池雄星投手が開幕投手をつとめるなど、これまでにないほど日本人投手の活躍が期待される2025年のMLB。どのようなスタートになるのか、目前に迫る開幕が待ち遠しい。
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