
マリナーズの経営陣が近年補強に消極的で、選手やファンから不満が爆発している。『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者は5日(日本時間6日)、「マリナーズは唯一無二の投手陣を擁するが、オフェンスに金をかけないのは『馬鹿げている』」と題した記事を掲載。マリナーズやドジャースに所属したジャスティン・ターナー内野手のコメントを取り上げた。
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■優秀な投手陣が見殺しに
現在40歳のターナーは、2009年にオリオールズでメジャーデビュー。その後メッツを経由し、14年から22年まではドジャースに所属。正三塁手としてチームを支えた。24年のシーズン前半にはブルージェイズ、後半はマリナーズでプレー。オフにカブスへと移籍した。
ターナーは『USA Today』の取材に対し「球界最高の投手陣を擁していながらインパクトのある打者を補強せず、昨季1ゲーム差でプレーオフ進出を逃したのは馬鹿げている」とマリナーズのチーム運営について不満を吐露。「この球団の歴史上、数人の打者を加えて優勝を狙うのに今より絶好のタイミングはない」と、持論を展開したという。
昨季85勝77敗でワイルドカード枠を逃したマリナーズは、生え抜きの先発投手陣が次々と成長。球界最高クラスのローテーションを形成しているにも関わらず、チーム平均打率.224は30球団ワースト2位。「打者地獄」のT-モバイルパークを本拠地にしており、近年は貧打に苦しむケースが絶えない。エースのローガン・ギルバート投手はオールスターに出場、防御率3.23でア・リーグトップのクオリティスタート22回を記録しながら、わずか9勝に留まった。
■チーム運営の差が浮き彫りに
昨季オフには、ピート・アロンソ内野手やアレックス・ブレグマン内野手など多数の強打者がFA市場に溢れたが、マリナーズに目立った動きはなし。申し訳程度にユーティリティプレイヤーを補強するお決まりのパターンでお茶を濁し、多くのファンを失望させた。GMに対しての批判以上に、出し渋りを続ける経営陣への風当たりは強い。所有する地元放送局『ROOT SPORTS』の経営状態が懸念され、積極的な補強に動けない現状も拍車をかけている。
マリナーズはイチロー氏が加入した2001年を最後に地区優勝から遠ざかっており、ワールドシリーズ出場の経験は未だなし。ナイチンゲール記者は「月曜日にマリナーズ施設にいたケン・グリフィーJr.とイチロー、エドガー・マルティネスの3人の殿堂入り選手を引退から復帰させる方が、オフェンスの強化になったかもしれない」と皮肉を込めた。
ドジャースに9年間所属したターナーは、マリナーズの利益優先の姿勢に呆れ「球団は十分儲かっているのに、彼らは金を使わない」と痛烈に批判。両球団のチーム運営の落差が浮き彫りとなっている。
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