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ドジャースの大谷翔平投手は、昨季159試合に出場し、打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁、OPS1.036と圧巻の好成績。本塁打と打点の二冠王を獲得し、フルタイムの指名打者としてはメジャー史上初の年間MVPを受賞。チームを4年ぶり8回目の世界一へと導いた。
最高の結果に終わった移籍1年目だが、決して順風満帆だったわけではない。大谷自身も「8月が最悪で、本当にツキがなかった」と語るように、キャリアでも最大の不運に見舞われていた。ここでは、公式データで昨季8月の打撃指標を振り返ってみたい。
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■長期スパンでは3割前後に収束
昨季の大谷は、8月の月間打率が.235と苦戦。12本塁打は放ったものの維持してきた打率が.300を切り、周囲が俄かに慌ただしくなった。盛んにスランプと報じられたが、実はインプレー打率「BABIP(Batting Average on Balls in Play)」の低下が成績下降の要因だったと考えられる。
「BABIP」とは、本塁打を除くインプレーの打球が安打になった割合を示すもの。長期スパンでは“3割前後に収束する”とされており、この年の大谷は3月4月が.378、5月.344、6月.274、7月.385と高水準だったが、8月に入って「.190」まで落ちこんでいる。これは、大谷のメジャー7年間でもっとも低く、キャリア最大の不運だった証となっている。
一方で、9月10月の合計ではキャリアハイのBABIP「.457」をマークしており、揺り戻しも起こっている。直近3年間では.320、.342、昨季は最終的に.336に落ち着いた。打球速度が速い打者は高い数値が出やすいため、大谷にとってはこれくらいがアベレージと見てもいいだろう。
■BABIP(Batting Average on Balls in Play)
本塁打を除くインプレーの打球が安打になった割合。長期間では3割前後に収束すると言われており、極端に逸脱した選手は揺り戻しがくるケースがほとんど。走力や打球速度が優れた選手の方が高い数値が出やすく、打者は多少の個人差が見られる。とりわけ投手にあてはまりやすく、メジャーリーグ全体の直近10年間では、毎年.290から.300に収まっている。2024年は.291を記録。運の要素を数値化した指標。
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