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現地15日(日本時間16日)に開催されるMLBオールスターゲーム(以下ASG)には、大谷翔平投手(ドジャース)、今永昇太投手(カブス)ら日本選手も出場するが、今年のASGでの注目ポイントのひとつが“初出場”選手の多さ。両リーグ計64選手のうち、ちょうど半数の32選手が初選出とフレッシュな顔ぶれが揃った。全米に名を売りたい初出場選手たちにとって、ASGは格好の大舞台となる。
本記事ではア・リーグから、注目の初出場選手をピックアップする。(※記事内の成績は現地7月9日時点)
◆Aロッド以来の“遊撃手50発超え”も視野、昨季新人王ヘンダーソンが「勝利貢献度」でも全選手トップに
■ジャッジ超えのWARを記録する23歳
ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)
今季のMLBでトップとなる147本塁打を量産し、激戦のア・リーグ東地区でヤンキースを抑えて1位を堅持するオリオールズ。その躍進を牽引しているのが、チームトップ、リーグ2位の27本塁打を放っているガナー・ヘンダーソン内野手だ。
2023年に28本塁打で新人王を獲得したメジャー3年目の若手有望株は、今年のオールスターファン投票でロイヤルズのボビー・ウィットJr.内野手を抑えて遊撃手部門トップ通過。自身初のオールスター出場を決めた。
現在、本塁打、OPS(.983)ともにヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手に次ぐリーグ2位だが、77得点はリーグトップ。さらに、平均的な控え選手に比べて、打撃、守備、走塁などでどれだけ勝利をもたらしたかを示す総合評価「WAR」では、Baseball ReferenceによるrWAR6.4(ジャッジ6.0)、FangraphsによるfWAR6.2(同5.8)とジャッジをも凌駕している。
ASG前日のホームランダービーへの参加も表明しているヘンダーソンが、シーズンの好調をそのままに、豪快なフルスイングでアーチを放つか注目したい。
■手術から復活、サイ・ヤング賞候補の最右翼
タリック・スクバル(タイガース)
2022年の左ひじ手術から、23年7月に復帰すると、その後15先発で7勝3敗、防御率2.80で復活。今季は自身初の開幕投手に抜擢され勝利を飾ったタイガースのタリック・スクバル投手。
その後は5月17日(日本時間18日)のダイヤモンドバックス戦で6回1安打無失点の6勝目を挙げるまで9登板で無敗。現在は10勝(3敗)、防御率2.37、奪三振132で各部門のリーグTO3に名を連ねており、MLB公式サイトが7月8日(同9日)に発表したサイ・ヤング賞の模擬投票の結果では、ア・リーグで堂々の1位に選出された。
1投球回で何人の走者を出したかを示すWHIP0.90はリーグで最も低く、奪三振120以上での与四球20も最少。与四球率1.64は同6位、奪三振率10.80は同3位とコントロールが信条だ。
■メジャー最速剛腕クローザーが残す脅威の奪三振率
メイソン・ミラー(アスレチックス)
2023年4月デビューの2年目右腕で、今季はクローザーに抜擢されたのがアスレチックスのメイソン・ミラー投手だ。
23年は平均98.4マイル(約158.4キロ)だった4シームの平均球速が、今季はMLBで唯一、100マイル超えの100.8マイル(約162.2キロ)と球速を上げ、31試合の登板で1勝1敗、防御率2.39、14セーブ。そして、リリーバーではメジャートップの66奪三振を記録した。奪三振率15.77は30回以上登板のリリーバーでは他を圧倒する。
その真骨頂を見せたのが、4月22日(同23日)のヤンキース戦。2-0でリードした9回に登板し、アンソニー・ボルビー内野手、ホアン・ソト外野手、そしてジャッジを三者三振で打ち取りゲームセット。ソトからは、今季最速の103.3マイル(約166.2キロ)で空振り三振を奪った。
ヘンダーソンは先発出場で、打席やフィールディングで何度か見せ場が訪れそうだが、スクバルやミラーら投手は登板機会が限られているだけに、その少ないチャンスで持ち味をどれだけ出せるか。スター選手への登竜門ともいえるASGから、さらなる飛躍が期待される初選出選手から今後も目が離せない。
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