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21歳の竹田麗央が12日からのKKT杯バンテリンレディスオープンでツアー初優勝。19日からのフジサンケイレディスクラシックでは初日からトップを守る完全優勝を果たし、ポイントランキングでトップに踊り出た。
竹田は26日から開催されるパナソニックオープンレディスゴルフトーナメントにもエントリー。3連勝をかけて戦う。
◆なんじゃこれ!? 世界で竹田麗央しか使っていない未発売ヘッドって?
米女子ツアーではネリー・コルダが18日からのメジャー、シェブロン選手権を制し、ツアー5連勝を達成。
米男子ツアーでは11日からのマスターズを制したスコッティ・シェフラーが18日からのRBCヘリテイジも制し2連勝。これで最近5戦が優勝4回と2位タイ1回となった。
米ツアーでは男女とも1人が突出した成績を挙げているが、日本女子ツアーも同じように、竹田が他を寄せ付けないほどの強さを、引き続き見せていきそうな雰囲気が漂ってきている。
竹田の武器は飛距離が出るドライバーショット。そして、昨季に比べて向上したアイアンショットの精度の高さが2連勝という成績につながっている。
■飛距離が出るドライバーショットのスイング
昨季のドライビングディスタンスが258.91ヤードで2位。今季も、256.91ヤードで3位につけてる。さらに、昨季のパー5の平均スコアが4.6300。ツアー史上最少での1位となったところからも、竹田は飛距離が大きなアドバンテージとなっていることがうかがえる。
身長166センチと体格にも恵まれているが、スイングにも飛距離が出る要素が詰まっている。
バックスイングでは積極的に体重を移動。アドレス時のバランスを保つ選手も多いが、竹田はそうではなく、右股関節に体重をしっかりと体重を乗せこんでいる。
だが、バックスイングで手やクラブの動きはおとなしい。トップオブスイングは女子選手にしてはコンパクトで、シャフトは地面と平行のポジションまでいかず、ふところが広めだ。
トップオブスイングが大きすぎてふところが狭まると、クラブがボールに対して上から入りやすくなり、適正の打ち出し角やスピン量を得にくくなるが、竹田のバックスイングやトップオブスイングはそのリスクを抑えることができる。
ダウンスイングでは、左足の地面反力は使いながらも、右足のふんばりも効かせて、体を右側に残している。このように向心力を高めることで遠心力が生かされ、クラブヘッドを加速させている。
また、向心力を高めるということは、インパクトで手元(グリップエンド)がターゲット方向にずれない、ということ。これも、打ち出し角やスピン量を適正にして飛距離を最大化するポイントになる。
■昨年に比べてセカンドの精度向上
昨季のパーオン率は73.0994%で10位。これでも十分に高水準なのだが、今季現時点では76.5342%で2位と、セカンドショットの精度を上げてきている。
ポイントは上体のブレ。以前は体重移動につられるように、上体も右に動きながら深く回っていた。トップオブスイングの位置も、今よりも大きかった。
トップオブスイングは大きいほど、ダウンスイングで上体が左に突っ込むリスクが高まる。フィニッシュにそれが表れ、上体がつっこんだ形になっていることもあった。
より再現性高くドライバーの飛距離をスコアに結び付けるために、そこを修正(調整)したのだろう。
‟下半身の力を積極的に使うというところはそのままで上体のブレを抑える”スイング作りに成功したことが、セカンドショットの精度向上に表れたようだ。
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竹田麗央スタッツ
■全米女子オープン出場権獲得圏内
5月27日時点の世界ランキングが75位以内で、5月30日からアメリカ・ペンシルバニア州のランカスターカントリークラブで開催される全米女子オープン出場権獲得となる。
竹田は富士フィルム・スタジオアリス女子オープン終了後の世界ランキングは91位だったが、その後の2連勝で、現時点での世界ランキングが59位。
「将来は米ツアーで戦いたい」と語る竹田の初の海外メジャー挑戦は、約1カ月後の全米女子オープンになる可能性が一気に高まった。
前回、ランカスターCCで開催された全米女子オープンは2015年大会。海外メジャー初出場となった葭葉ルミが14位タイと健闘した。
葭葉は日本ツアーを代表する飛ばし屋だった。日本ツアーでドライビングディスタンスの計測が始まった2017年から2年連続で同スタッツ1位を獲得したほどだ。
竹田も葭葉並みの飛距離の持ち主。日本でトップレベルを誇る飛距離があれば、初出場でも十分戦える。
好調をキープして全米女子オープンに挑めるのか。竹田の初海外メジャーまでの日本ツアーでのプレーに注目したい。
◆なんじゃこれ!? 世界で竹田麗央しか使っていない未発売ヘッドって?
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。