稲見萌寧、“アバウト”なパッティングをものにして狙うはルーキーオブザイヤー獲得か | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

稲見萌寧、“アバウト”なパッティングをものにして狙うはルーキーオブザイヤー獲得か

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稲見萌寧、“アバウト”なパッティングをものにして狙うはルーキーオブザイヤー獲得か
  • 稲見萌寧、“アバウト”なパッティングをものにして狙うはルーキーオブザイヤー獲得か

稲見萌寧は昨季11月に日本で開催された米女子ツアーTOTOジャパンクラックで優勝した。それにより獲得した米女子ツアー出場権を行使し、今季から米女子ツアーを主戦場にしている。

米女子ツアーは今季2戦が終了。その2戦とも稲見は出場した。開幕戦のヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズは19位タイ、LPGAドライブオン選手権は8位と上々の滑り出しを切った。

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■昨季中盤からアイアンの精度復活の兆し

稲見は昨季の前半不振を極め、開幕から13戦で6度予選落ちした。

稲見は練習の虫で完璧主義。微細な感覚のズレを見逃さず、より精度高いショットや完璧なスイングを求めている。そのスタイルが影響してか、ケガの治療とスイング改造の両立がうまくいかず、稲見らしいショットを見ることが減った。

しかし、中盤から調子は上向きになった。6度目の予選落ちの翌週の大会から17戦連続予選を通過し、内トップ10が4回。安定感を保ちTOTOジャパンクラシックへ臨み、優勝をもぎ取った。

TOTOジャパンクラシックのパーオン率は初日と2日目が100%で4日間トータルが94.4%。2位は87.5%で、ショットの安定感が他の選手を圧倒していた。

年が変わり舞台がアメリカに移っても、ショットの上昇ムードが続いている。LPGAドライブオン選手権のパーオン率は87.5%でトップタイ。

賞金女王に輝き東京五輪で銀メダルを獲得した2020-21シーズンの頃のショットのキレに近づきつつあるようだ。

ただ、同大会のティーショットからグリーンに乗るまでに稼いだスコアを示すSG:ティートゥグリーンは34位。ピンに絡む回数は多くないことがうかがえる。

ボールがピンを差すショットが増えてきた時、‟稲見らしさ復活”と言えるだろう。

■SG:パッティング9位

米女子ツアールーキーイヤーで上々の滑り出しを切れたのは、ショット以上にパットの好調さによるものが大きい。

LPGAドライブオン選手権のSG:パッテングで8位に入り、今季現時点でのSG:パッティングは9位だ。

稲見は各分野のスペシャリストとともに米女子ツアーで戦っている。スイングコーチやフィジカルトレーナーだけでなく、パッティングに特化したコーチも加え、チーム稲見を形成している。

昨季からパッティングコーチの指導を受けているが、LPGAドライブオン選手権で採った稲見の選択は、エイムポイントエクスプレスを使ったライン読みと、打ち出し方向にボールに書かれたラインを合わせることを封印する、というもの。これが良い方に作用したようだ。

カップに正対し、片手の平をカップに向けた状態で指数本を顔の前に立てるポーズが、エイムポイントエクスプレス。

足裏で傾斜を読み、その傾斜の種類と度合いに応じて指の立て方や本数を変える。カップの中心に立てた指の端を合わせ、その時の逆側の指の端の地点が狙いとなる。

その指を立てて狙いを定めることと、定めた狙いにボールのラインを合わせることを封印したということは、機械的にパッティングをこなそうとしていたスタイルから、感覚を信じて打ち切るスタイルに変化したということ。

これを継続するかどうかは分からないが、これまでの稲見らしくない少し‟アバウト”なスタイルに変わりつつあることが垣間見える。

もしかしたらこのアバウトさが、完璧主義の稲見のゴルフに最も必要なことかもしれない。

これまでの経験や実績が邪魔することなく、自身の感覚や築いてきたスイングを信じ、心身ともに緊張が和らいだ中で長いシーズンを戦いたいところだ。

■ルーキーオブザイヤー現時点1位

ルーキーオブザイヤーは現時点で1位。歴代のルーキーオブザイヤーを見るとイ・ジョンウン6、コ・ジンヨン、チョン・インジ、パク・ソンヒョンなど、メジャーチャンピオンの名前が並ぶ。

ポイントを稼ぎ続け年間1位となれば、1990年の小林浩美(現日本女子プロゴルフ協会会長)以来の日本人選手のルーキーオブザイヤー獲得となる。

また、今季はパリ五輪がある。

世界ランキングは現時点73位で日本人選手13番手。現状、日本代表入りは厳しいが、東京五輪も前年末のランキングが63位と厳しい状況から一気に日本人選手を抜き去っての代表入りだった。米ツアーはポイントが高いため、今回も大逆転での代表入りの可能性は残されている。

ルーキーオブザイヤー受賞と五輪2大会連続出場へ。

次戦は2月29日からのHSBC女子世界選手権となる予定。強さを取り戻しつつある銀メダリストが躍動するか注目だ。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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