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女子ゴルフの国内第34戦「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」(埼玉県・武蔵丘ゴルフコース/6650ヤード、パー72)が27日、開幕する。
昨季は、最終日首位でスタートした金田久美子が通算9アンダーで逃げ切り、実に11年189日ぶり(ツアー制施行後、最長ブランク)となる涙の2勝目を飾った。ツアーも残り5試合。今大会からメルセデス・ランキング首位の申ジエ(韓国)も復帰し、女王争い、さらにはシード権争いが激しくなる中、選手たちはどのようなプレーを見せてくれるのか。
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■グリーンを攻略した選手が勝つ
埼玉県では珍しい林間コースである「武蔵丘ゴルフコース」。選手たちの前に立ちはだかるのは、砲台でアンジュレーションが強く、硬くて速いグリーン。例年、このグリーンを攻略した選手が勝ってきた印象が強い。
以下に2022年大会上位選手の平均パット数をまとめた。
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2022年大会上位選手のパット数
ご覧の通り、優勝した金田の平均パット数が28.00と最も少ない。グリーンのどこに乗せるかも大事だが、最後はパッティング勝負というのが結論なのだろう。
続いて、過去5大会優勝者の平均パット数を調べてみた。ここでもパットの重要性が見て取れる。
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過去5大会優勝者の平均パット数
なんといっても優勝者の顔触れがすごい。渋野日向子、西村優菜、鈴木愛、ささきしょうこ。いずれもパットの名手と呼ばれる選手たちである。過去5大会で最も平均パット数が多い優勝者は、21年大会の渋野。だが、この難しいグリーンで29.67である。ほかは26~28台となっており、グリーンを攻略してこその勝利だったと考えていい。
こうしてみると、今大会はパット巧者に有利という点は動かしがたい。そこで今度は、今季ここまでのパッティングに関するスタッツを見ていく。パーオンホールの平均パット数と、1ラウンド当たりの平均パット数、双方の上位選手を以下にまとめた。
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今季の平均パット数
この2つのスタッツの関係性をどう見るかだが、どちらも上位に入れば当然パット巧者ということになる。両方とも重要なのだが、どちらがより勝ちにつながるかの観点でいえば、バーディに直結するパーオンホールの平均パット数の方だろう。
ここでは、双方ともトップ20入りしている選手を太字で、なおかつパーオンホールの平均パット数の順位の方が高い選手を赤字で示した。
赤字で示した選手は8人。8人中5人(山下美夢有、申ジエ、岩井千怜、神谷そら、菅沼菜々)が今季複数回優勝を達成している。
この中で最も推したいのは、前週2勝目を挙げた菅沼だ。地元の名門・埼玉栄高出身で慣れ親しんだコースという地の利と、22年大会5位タイ、21年3位タイと実績を残している点が強みといえる。疲れさえ克服できれば、2週連続優勝の可能性は高いとみている。
同じく埼玉栄高出身の岩井ツインズでは、妹・千怜に注目したい。優勝争いを演じた前々週の「富士通レディース」からパッティングの調子が上向いてきた感がある。
また、歴代チャンピオンに名を連ねる申、鈴木、ささきも侮れない。そして、その申と女王争いを演じる山下は前週2位タイで20.82ポイント差まで迫ってきた。上位フィニッシュを続けている点はさすがだが、なかなか勝ち切れない試合が続いている。今週はどうなるか、気になるところだ。
初日の注目組だが、まずは2週連続優勝のかかる菅沼、ディフェンディング・チォンピオンの金田、櫻井心那の組み合わせ。1番から9時54分にスタートする。そして山下、岩井明愛、申というメルセデス・ランキング上位3人の豪華なペアリング。1番から10時05分にティーオフする。
■有力選手のペアリング
なお、有力選手の主なペアリングは以下の通り。
1番スタート/8:26/山内日菜子、阿部未悠、木村彩子1番スタート/8:37/川﨑春花、尾関彩美悠、藤田さいき1番スタート/8:48/吉本ひかる、佐久間朱莉、菊地絵理香1番スタート/8:59/穴井詩、桑木志帆、ささきしょうこ1番スタート/9:10/川岸史果、佐藤心結、鈴木愛1番スタート/9:21/青木瀬令奈、蛭田みな美、稲見萌寧1番スタート/9:32/小祝さくら、岩井千怜、森田遥1番スタート/9:43/吉田優利、神谷そら、原英莉花1番スタート/9:54/櫻井心那、菅沼菜々、金田久美子1番スタート/10:05/山下美夢有、岩井明愛、申ジエ
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