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ドラフト1位候補に挙がっていた花巻東の佐々木麟太郎がプロ志望届を提出せず、米国の大学に進学することを表明した。この決断を米メディアも報道。「日本高校野球界の怪物がNPBをスキップし、NCAAでプレーすることになった」(ESPN)などの見出しが躍り、驚きを持って伝えられた。
◆花巻東の怪物スラッガー・佐々木麟太郎が決意「プロ志望届は出さずに、アメリカの大学へ行く」高校最後の大会は初戦敗退に終わる
■専門誌「非常に高いレベル」と紹介
史上最多高校通算140本塁打を誇る佐々木は10日、プロ志望届を提出せずに米国の大学に進学することを表明した。26日のドラフト会議では1位候補に挙がっていたスラッガーの決断を米メディアも大きく報じた。
野球専門誌『ベースボール・アメリカ』のピーター・フラハティ記者は、佐々木について「20~80のスカウティングスケールで70という圧倒的なパワーを持っている」とし、選手の能力やポテンシャルを評価する基準において、上から2番目の70にあたると紹介した。この評価基準は最低の20ポイントから10ポイント刻みで上がっていき、最高は80で平均は50。佐々木の70は「非常に高いレベル」とされ、メジャーで毎シーズン30本塁打を打つことが可能という評価になるため、同記者も称賛した。
■現時点でドラフト3巡目という評価
ただ、『ESPN』は「日本では80マイル中盤(約137キロ)の投手と対戦していたため、米国のトップレベルのアマチュア投手相手にどれだけのパフォーマンスを残せるか不透明。この不透明さを考慮すると、現時点でスカウト陣の評価はドラフト3巡目あたりの選手ということで一致している」と伝えた。
どのメディアも進学先については、9月に佐々木が視察に訪れたバンダービルト大を筆頭候補に挙げており、ダンスビー・スワンソン、マイク・ヤストレムスキー、デビッド・プライス、ウォーカー・ビューラーら多くのメジャーリーガーを輩出してきた名門が優位に立っているようだ。
■佐々木監督「卒業生から話を聞いた」
佐々木の父であり、花巻東・佐々木洋監督は今回の決断にあたり「卒業生からも話を聞いた」とし、大谷翔平や菊池雄星からも助言を受けたことを明かした。MLB公式サイトも佐々木が大谷や菊池の後輩にあたることを伝えた上で、「花巻東は将来のメジャーリーグのスター選手を育てるのに地球上で最高の環境かもしれない」と記し、佐々木もいずれ大谷たちの後に続くだろうと予想した。
将来のメジャー入りについて佐々木自身は明言を避けたが、4年制大学に進学した場合、3年を修了するか、または21歳になった時点で指名対象となるため、4月生まれの佐々木は2026年7月のドラフトで指名を受けることができる。
日本のプロ野球を経由した場合、海外FA権取得まで9年を要する。ポスティングシステムを利用する場合でも周囲の理解を得なければならず、メジャー挑戦の道は簡単ではない。
有望選手が日本プロ野球を経ないでメジャー入りとなれば、後に続く高校球児が現れる可能性もある。ドラフト1位候補だった佐々木の決断は、今後波紋を呼ぶことになるかもしれない。
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文●SPREAD編集部