【ラ・リーガ】MOM率“100%”の久保建英、圧巻2発で日本人最多得点記録樹立 新エースの覚醒引き出した「偽9番」の波及効果 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ラ・リーガ】MOM率“100%”の久保建英、圧巻2発で日本人最多得点記録樹立 新エースの覚醒引き出した「偽9番」の波及効果

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【ラ・リーガ】MOM率“100%”の久保建英、圧巻2発で日本人最多得点記録樹立 新エースの覚醒引き出した「偽9番」の波及効果
  • 【ラ・リーガ】MOM率“100%”の久保建英、圧巻2発で日本人最多得点記録樹立 新エースの覚醒引き出した「偽9番」の波及効果

日本代表MF久保建英を擁するレアル・ソシエダは2日、ラ・リーガ第4節で昨季のスペイン2部を制した昇格組グラナダと対戦。3日連続の練習欠席で出場が危ぶまれた久保だが、[4-3-3]の右ウイングで先発出場。先制点を含む2ゴールを挙げ、相手のオウンゴールを誘発するなど4得点に絡んでチームの5-3の勝利に貢献。

ラ・リーガ公式は久保をこの試合のMVP「マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)」に選出。久保のMOM選出は、先制点を挙げた今季開幕戦から4試合連続の快挙。また、この日の2得点で久保が挙げたラ・リーガでの通算得点は「18」に到達。「16」で並んでいた元日本代表MF乾貴士(清水エスパルス)を超えて、ラ・リーガでの日本人通算最多得点記録を樹立している。

◆【実際の映像】久保建英、カットインからの鮮やかなコントロールショット 自身初ラ・リーガ1試合2発で覚醒

■「ラ・リーガに遅刻」したチームの目を覚ます2発

絶好調な久保とは打って変わり、ソシエダは開幕から格下を相手に3試合連続のドロー。地元紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』が、「ラ・レアルは、ラ・リーガに遅刻」と書き立てていたが、この日の久保はそんなチームの目を覚ます活躍を披露した。

前半9分、中盤での攻防でソシエダがパスを繋ぎ、MFブライス・メンデスが前線のスペースへスルーパス。これに反応した久保がGKとの1対1を制して先制。その後、オウンゴールで同点とされたが、再び試合を動かしたのも久保だった。

前半44分、いったん攻撃を防がれたソシエダは、今季新加入のマリ代表右サイドバック、アマリ・トラオレがボールを拾い、同サイドで高い位置をとった久保へ展開。前を向いてドリブルからのカットインを仕掛けた久保は、相手DF2人の間にシュートコースを見つけて左足を一閃。逆サイドネットに放物線を描いたシュートが決まった。鮮やかにゴールに吸い込まれた美技は、すでに既視感のある久保の得点パターンの1つだった。

後半に入ると、ソシエダは久保が起点となった攻撃から3点目を奪い、さらに久保のラストパスが相手のオウンゴールも誘発するなど、一気に5-1とリードを拡げた。久保は後半34分に交代でピッチを後にし、その後にチームは2失点。チームとしての課題は残したが、今季初勝利を“新エース”が導いた一戦だった。

久保は開幕以来全ての試合でMOMに選出されていることについて不満だったようだが、この日の試合後には「初めてMVPに相応しかったと思います」と納得の表情を浮かべていた。

■久保の得点力を活かす「偽9番」

ソシエダはボールを保持する戦いを継続して志向して来たチームでありながら、今季は開幕3戦でのボール支配率が平均48.3%。特に第2節のセルタ戦と第3節のラス・パルマス戦ではシュート数でも相手に上回られて、2戦合計10本のシュートしか放てなかった。

チームを率いるイマノル・アルグアシル監督は、この試合からセンターフォワード(CF)として先発起用していたFWカルロス・フェルナンデスを外した。典型的なストライカーに代わり、最前線の中央を担ったのは、スペイン代表ミケル・オヤルサバル。左ウイングを本職とするチームの主将を中央で起用することで、チーム本来の攻撃力が最大限に発揮された。

久保の先制点の場面は、オヤルサバルが中盤に引いてボールを受けることで最前線中央にスペースを創出。右サイドの久保が中央に向かって斜めに走り込み、そのスペースにスルーパスを引き出して生まれた。「ファルソ・ヌエベ(偽9番)」と呼ばれる戦術の模範的な崩しだった。左ウイングの21歳アンデル・バレネチェアも今季2ゴールを挙げて好調なため、この攻撃戦術の採用は整合性がとれている。

■二桁ゴールはノルマ、チームが認めた“エース”に

今季のソシエダは開幕直前、元スペイン代表MFダビド・シルバが左膝の前十字靭帯を断裂。37歳のレジェンドは回復を諦めて現役を引退。さらに昨季チーム最多12ゴールを挙げ、久保との凸凹コンビとして抜群の連携を披露したノルウェー代表FWアレクサンダー・セルロート(ビジャレアル)もチームを離れ、攻撃陣の再編を余儀なくされていた。

昨季9ゴール7アシストの久保は、引退したシルバに最も似たプレースタイルをもつこともあり、ゲームメイクと得点力の両面での期待を集めていた。アルグアシル監督がグラナダ戦の前日会見で、「私の見解では、久保は第3節までに4得点4アシストしているはず」と述べたのはそのためだろう。

ただ、前節からスペイン代表MFミケル・メリーノが戦線復帰。中盤でのゲームコントロールを取り戻したことにより、監督は「偽9番」の採用によって久保の得点力を引き出すことが現チームの最適解だと判断したのだ。つまり、監督やチームメイトが久保を“エース”と認めた証拠だ。昨季逃した二桁ゴールは最低限のノルマとなる。

開幕4戦で3得点1アシストを挙げた“エース”久保は日本代表(FIFAランク20位)に合流する。現地時間9日にドイツ代表(同15位)、12日にトルコ代表(同41位)と対戦する代表チームでも、その進化が期待される。

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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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