【スーパーフォーミュラ】最終戦を待たずして野尻智紀がドライバーズタイトル2連覇達成 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーフォーミュラ】最終戦を待たずして野尻智紀がドライバーズタイトル2連覇達成

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【スーパーフォーミュラ】最終戦を待たずして野尻智紀がドライバーズタイトル2連覇達成
  • 【スーパーフォーミュラ】最終戦を待たずして野尻智紀がドライバーズタイトル2連覇達成

2位に32ポイントもの大差をつけ、ドライバータイトル2連覇に王手をかけ迎えた最終の鈴鹿2連戦。野尻智紀(チーム無限)には日曜日の第10戦を待たずして、土曜日の第9戦でタイトルを決める可能性があった。自力で決めるための条件が、2位以上でフィニッシュすること。野尻は今シーズン5位以下になったことが一度もなく、同じ鈴鹿が舞台の第3戦では予選ポール、決勝2位。そう考えると現実的ではあるが、すべてが拮抗した戦いの中での結果だ。この局面でも同じような戦いが果たしてできるのか、興味深く見ていた。そして野尻はあっさりと予選ポール、決勝は2位でタイトル2連覇を決めた。

“勝負あり”と思わせたのが、予選でのポール獲得だ。ここまで築いてきたリードも、8戦中4度ポールを獲ったことが大きかった。スーパーフォーミュラは予選での1位~3位にもポイントが与えられるルールで、野尻は予選だけでここまで14ポイント稼いでいる。なぜ予選が安定して速いのか、今回の予選で、その真髄が見えたような気がした。

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■視線は早くも3連覇に向いている

今回、金曜日に行われた占有走行では野尻は16位に沈んでいた。一方、逆転タイトルの可能性があるサッシャ・フェネストラズ(コンドーレーシング)と平川亮(チームインパル)は3位、5位と好調。野尻の不調ぶりは深刻で、田中洋克監督の話によれば占有走行後「どこをどうすればセッティングをもっとつめられるのか、夜10時くらいまでドライバーを交えてミーティングを行い隅々まで検証した」のだという。

そうして足回り他、様々な部分を大きく変更し予選に臨んだところ、野尻はQ1でクルマの確かな改善を感じ「気持ちがポジティブになれた」とポールポジション会見で語っている。その結果が、完璧なアタック。ここまでの8戦を振り返ってみても専有走行、予選Q1、予選Q2という一連の流れの中で、伸び幅が最も大きかったのが野尻だった。良かれと思いセッティング変更し、それが裏目に出てしまうことはよくある。今シーズンの野尻にはそれがない。

一方、専有走行で好調だったフェネストラズ、平川は予選では冴えなかった。特に17位に終わってしまったフェネストラズは「最悪、ひどい予選だった」とお手上げ状態。結局レースも11位スタートの平川は9位フィニッシュで2ポイント獲得のみ、17位スタートのフェネストラズは16位フィニッシュでノーポイントと、野尻にプレッシャーすら与えられなかった。そんな中、野尻はチームメートの笹原右京に優勝こそ譲ることになるも2位をキープしフィニッシュ。チームタイトルもかかっていたことからリスクヘッジも必要だったレースで、きっちりと個人タイトルの方も決めた。

レース後「これで明日は、優勝だけを狙える」と野尻が語った。これは当然のコメントだ。だがその理由はこちらの予想と少し違っていた。「ここのところ上位でレースはできているのの勝ててはいないので、勝ち方を忘れてしまった。だから来シーズンに繋げるために明日は優勝したい」。野尻の視線は早くも、3連覇に向いているようだ。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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