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オリックスは27日、2位のロッテが楽天に敗れたことにより、1996年以来、25年ぶりのリーグ優勝を決めた。過去2年連続で最下位と低迷するも、今季はベテラン、中堅、若手の融合で見事にパ・リーグを制した。
ここでは、今季オリックスがパ・リーグを制した要因と、クライマックス・シリーズ(CS)突破に向けて投打のキーマンを考察したい。
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■中嶋監督の若手起用が光る
中嶋聡監督は昨シーズン、西村徳文前監督の成績不振による辞任で、2軍監督から1軍監督代行に昇格。今季は開幕から監督として指揮を執ったが、若手を我慢強く起用する采配でチームを再編。その象徴とも言えるのが、2019年ドラフト2位の紅林弘太郎だ。
紅林は開幕戦からスタメン出場を果たし、3月28日にはプロ初本塁打を放つなど起用に応えた。シーズン最終戦では楽天・田中将大から2本のタイムリーを記録。さらに、エース・山本由伸を助ける好守備も披露し、勝利に貢献した。吉田正尚の離脱時には3番も務め、球団史上初となる10代での2桁本塁打も達成するなど飛躍のシーズンとなった。
また投手陣では、リーグ2位の13勝を挙げた2年目左腕・宮城大弥のブレイクも大きかった。左腕としては阿部八郎以来68年ぶりとなる開幕5連勝を記録したが、10代での達成は球団史上初であった。
エースの山本は球団新記録となる15連勝をマークするなど「投手5冠」を達成。パ・リーグMVPの最有力候補だろう。18勝5敗、貯金13という勝率もさることながら、2リーグ制以降の投手としは歴代13位となるシーズン防御率1.39も特筆ものだ。
打線では「ラオウ」こと杉本裕太郎が覚醒し3割30本を達成。中軸に定着し、吉田正との“青学コンビ”で打線を支えた。また、福田周平、宗佑磨の1、2番コンビも存在感を発揮。福田は交流戦3位となる打率.391で、2010年以来の交流戦制覇に貢献した。外野手登録ながら主に三塁手としてプレーした宗は、キャリアハイとなる打率.272、9本塁打だけでなく、ダイナミックな守備でもすっかりチームに欠かせない存在となっている。
■若武者とベテラン投手の活躍がCS突破のポイント
25年ぶりにリーグ制覇を達成したオリックスの次なる目標は、1996年以来の日本一だ。CSを突破するにあたって、オリックスの投打のキーマンを考察したい。
投手のキーマンは、今季から日本に復帰しクローザーとして29セーブを記録した平野佳寿か。
短期決戦では早めの継投策が選択されることも多く、確実にリードを守り抜けるリリーフの存在は必要不可欠だ。若手主体のブルペン陣における“大黒柱”である平野がしっかりとゲームを締める展開が続けば、チームは一気に勢いづくはず。日米通算745登板という豊富な経験を生かせるか。
打者のキーマンには前述の紅林を推したい。レギュラーシーズン最終戦でも攻守で活躍しており、短期決戦における“ラッキーボーイ”となる可能性は十分にある。吉田正の復帰時期がまだ不透明なだけに、「中嶋チルドレン」の象徴的存在である紅林が、躍進のシンボルとしてCSでも輝きたい。
若手の育成と勝利を両立させたオリックスだが、快進撃はどこまで続くのか。日本シリーズ進出をかけたCSファイナルステージは、11月10日から行われる。
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文・SPREAD編集部