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今週は福島競馬場で七夕賞(芝2000m)が行われる。夏競馬で施行される伝統の一戦。ハンデ戦かつ多頭数のメンバー構成から「大波乱」が珍しくないレースで、人気馬の凡走×人気薄の激走が攻略のヒントとなる。
この記事ではデータ面から七夕賞を紐解き、攻略への糸口を見つけていきたい。
◆【七夕賞2021/枠順】上位人気予想のクレッシェンドラヴ、クラージュゲリエの枠は過去10年未だ未勝利
■トーラスジェミニを後押しする「馬券内率75%」データ
安田記念では強豪に混じって5着と掲示板内を確保。キャリアを重ねるごとに競馬に柔軟性が生まれてきた印象のトーラスジェミニ。2000mの良績、重賞の連対歴がない点から死角だらけの人気馬とも言えるが、こんな強力なデータが浮かび上がった。
・前走東京1600m組【1-0-2-1】
馬券内率に換算すると75%。その中身を紐解くと単勝54倍台で勝ち切ったアスカクリチャン、それぞれフタ桁人気で3着に入ったオリオンザジャパン、パワーポケットと人気薄激走馬がズラリ。前走東京1600m組の圧倒的な相性がうかがえる。
鞍上の戸崎圭太は2016-17年にかけてこのレースを連覇。心強い相棒とともに狙うは悲願の重賞制覇だ。
■クレッシェンドラヴにのしかかる「関東馬かつ7歳以上」の壁
昨年の勝ち馬にして、実績はメンバー中最上位級にランクされるクレッシェンドラヴ。当時と同じ鞍上・内田博幸を背に連覇を狙いたいところだが、マイナスとなってしまうデータがこちら。
・関東馬かつ7歳以上【0-0-0-26】
高齢馬の好走もチラホラ見られるレースだが、こと7歳以上の関東馬に限れば凡走が目に付いてしまう印象。さきほどのトーラスジェミニとは対照的な数字が出現する形となった。いくらGIのメンバーとはいえ、近走パフォーマンスは精彩を欠くもの。連覇に向けて暗雲が垂れこめるデータだ。
後編ではデータ面から浮上する七夕賞の穴馬候補2頭を紹介する。
◆【後編】波乱の刺客は「馬券内率100%データ」を誇るアノ5歳馬
◆【七夕賞2021予想/追い切りジャッジ】前走大敗馬に「A」評価、ガス抜きで「想定通りの仕上げ」
◆【七夕賞2021予想/追い切りジャッジ】上位人気想定の実力馬に「B」評価、ブリンカーの効果も「迫力が戻っていない」
▼競馬ストーリーテラー・田原基成の重賞分析TV「七夕賞」
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。