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21日、1月から隔週で12回にわたって繰り広げられてきた、日本発世界初のプロダンス・リーグ「D.LEAGUE」(Dリーグ)のレギュラーシーズンが終了した。
最終ラウンドの覇者は、チーム全員がマイケル・ジャクソンへの強いリスペクトを込めて、オマージュともいえるナンバーを踊りきったSEGA SAMMY LUX。これは、受賞後のインタビューでリーダーのCANDOOも語っていたように、12ラウンド全てを違う曲と振りつけで闘っていくなかで「いちばん大切なときに出そうと思っていたナンバー」だ。これにより、SEGA SAMMY LUXはラウンド1での優勝以来2度目の優勝をさらうと共に、レギュラーシーズンの総合点で見事トップ4にくいこみ、7月1日に開催されるチャンピオンシップへの切符を手にした。
■マイケル・ジャクソンの魂が降臨した圧巻のパフォーマンス
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(C)D.LEAGUE 20-21
審査項目の一つである「ファッション性」でも、毎ラウンド高得点をあげてきたSEGA SAMMY LUX。今回は全員が同じ白のスーツと黒いシャツ、そしてマイケル・ジャクソンのトレードマークでもあるハット(中折れ帽子)で身を包んだ。
「マイケルを踊るにあたり、とにかく全員“ガン揃え”でないといけない。音ハメはもちろん、中盤の肩の動きまでが一体となるように、一日一日を大事にして練習してきました」と、前出のCANDOOが言うとおり、そのステージには8人のマイケルがいた、とも言えるし、メンバー全員の踊る心が結晶した場所にマイケル・ジャクソンの魂が降臨し、おおいなるオーラと共に一つのダンスが踊られたかのようにも見えた。
あの興奮、マイケル・ジャクソンが空を蹴り、踊り出す時の、あの胸の高まりを髣髴とさせる演技は、レギュラージャッジ、ゲストジャッジからの高得点はもちろん、ネットを介しての一般投票からなるオーディエンスジャッジでも満点の20点を獲得し、いかに彼らが、観る者の心をしっかりと掴み躍らせたかがよく分かる結果となった。
■トップ4チームの華麗なる闘いまであとわずか
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(C)D.LEAGUE 20-21
前回のラウンド11では、2チームが新型コロナウイルスのPCR検査による陽性の疑いで欠場を余儀なくされたが、このラウンド12は、無事全チームが帰ってきての決戦が叶った。そしてこのレギュラーシーズンの最終舞台では、全ダンサーの踊る迫力がいつにも増して大きく膨らみ、圧をはらんで会場の空気を震わせた。その気迫は、画面を通してでも充分に伝わるものだ。そして、この夢のようなDリーグの舞台で踊れるという喜びと感謝が溢れでんばかりの彼らからは、初回のラウンド1の時より、明らかに全員の心の強さが増していることを感じることができた。
“その一曲”を踊りきるために、毎日を大切にしながら努力を積み重ねてきた自分への自負、そして、2週間毎という過酷なタームで、一緒に12のナンバーを踊り続け、創り上げてきた仲間への信頼。そこに、順位の差はない。この12ラウンドを通して彼らの闘いを見てきた筆者には、どのチームのどのダンサーも、いまや、尊すぎて愛しすぎる存在となってしまった。そして、それぞれが自分の踊りを踊りきる彼らの舞台から元気をもらい、愛を感じることこそが、真のエンターテイメントの魔術であり、誰もが掛かりたいエンタメの魔法なのだろう。
7月1日の「頂上決戦」。より力強いプロダンサーへと成長した、トップ4チームの華麗なる闘いまであとわずか。焦がれる胸をなだめつつ、聖戦の時を待ちたい。
◆日本中の「ダンサー」に幸せをもたらすDリーグ 魂までが踊りだす喜びがここにある
◆Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」
◆Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が描く未来図 「夢の選択肢を増やしたい」
著者プロフィール
Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。