【GM Interview】サッカーでの挫折からグローバル・ビジネスを目指す HALF TIME磯田裕介代表取締役 後編 今の日本に必要なのは「国際的柔軟性」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【GM Interview】サッカーでの挫折からグローバル・ビジネスを目指す HALF TIME磯田裕介代表取締役 後編 今の日本に必要なのは「国際的柔軟性」

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【GM Interview】サッカーでの挫折からグローバル・ビジネスを目指す HALF TIME磯田裕介代表取締役 後編 今の日本に必要なのは「国際的柔軟性」
  • 【GM Interview】サッカーでの挫折からグローバル・ビジネスを目指す HALF TIME磯田裕介代表取締役 後編 今の日本に必要なのは「国際的柔軟性」

グローバル」とミランダ・カーに連呼されるまでもなく、その言葉が「耳タコ」になり、いったいどれほどの歳月が経ったろうか。「ヒト、モノ、カネのもっとも自由に行き来する国」と政府が公言したのは2013年に遡る。それから8年、世界を自由に行き来するのは、新型コロナウイルスぐらいという現況において、真のグローバル・ビジネス構築には何が必要とされるのか。


日本の人材会社において、トップセールスを記録し、「グローバル・チャンレジ」という制度を活用の上、シンガポール支社に赴任した。それでも世界的経営者を目指すため、日系企業の駐在員では物足らない点を看破、英国企業に転進し、唯一の日本人として海外の経験を積んだ磯田さんに、その視点から日本に足りない要素とは何かを訊ねた。


磯田裕介(いそだ・ゆうすけ)


●HALF TIME株式会社 代表取締役1987年大阪府生まれ。大学卒業後、日系大手人材紹介会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社、全社MVP含め社内MVP賞を6度受賞。 同社の海外事業拡大のためシンガポールベトナム法人に出向。その後、スポーツ業界特化型の英系ヘッドハンティングファームSRISports Recruitment International) のシンガポール法人で初の日本人として入社し、日本事業を立ち上げ。シンガポール勤務の後、日本へ赴任。ワールドラグビー、欧州フットボールクラブなどの採用・転職支援。2017年8月HALF TIME株式会社設立。


◆【前編】世界的経営は「セカンド・キャリア」


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■『国際的柔軟性』の重要性


関東社会人リーグでのワンシーン


「日本で生まれ育った自身の文化が、世界の常識ではないという点に早い時点で気づきました。現地の価値観を学び、それに対してどうコミュニケーションを取るか……。例えば、海外のビジネスにおいて、何も発言しない……それは、何も考えてないと思われる。そこに気づいた時、周りを巻き込んで行く必要がある、自分を変えて行こうと考えたポイントです。まずは『国際的柔軟性』が必要だと思います」。


閉じた日本社会だけで生活していると、「日本と世界」、「日本とそれ以外」という二元論で世界全体を捉えがちだ。しかし日本以外の国や地域はそれぞれ多様であり、そうした多様性に適応するため、グローバル・ビジネスには「国際的柔軟性」が必要とされる。


スポーツビジネスへの足掛かりとなったSRIシンガポール支社にて


世界進出を視野にいれ『日本で成功したら世界に出よう』では、成功は望めないと考えています。そもそも世界に出るためのスキル、その土台を構築しないと世界にでは出られません。それには語学が必要ですが語学だけではない。それよりももっと大事な要素、自分を自在に変化させる柔軟性が必要だと捉えています」と磯田さんは力説する。


■HALF TIMEカンファレンス2021開催


そうした哲学を踏まえ5月12日(水)、13日(木)には、スポーツ界の「コロナ禍でのDXの取り組み」をテーマに「HALF TIMEカンファレンス2021」をオンラインで開催する。これまで1500人ほどの聴講者を迎える日本最大級のスポーツビジネス・カンファレンスも今回で5回目。ライツホルダーやスポンサーのリーダー陣を配し、欧米・アジアからインタラクティブなディスカッションを届ける。HALF TIMEのサービス開始2周年を記念して、今回は参加費無料での開催だ。


その登壇者には、米メジャー・リーグ・サッカー、シアトル・サウンダースFCバート・ウァイリーCOO、ウェルズ・ファーゴのスポーツマーケティング部門サラ・トゥーサンVP、国際バスケットボール連盟(FIBA)マーケティング子会社のフランク・リンダーDG、独ブンデスリーガ、FCバイエルン・ミュンヘンルーベン・カスパー・アジア代表らがラインナップされ、国内のスポーツ事情のみならず、世界の現状に耳を傾けることができる。


既存のカンファレンスでは、国内スポーツ事情しかテーマに据えないケースが散見される。しかし「(国内事情しか提示しない)日本のカンファレンスに疑問を抱き開催を続けています。スポーツの領域において、日本が世界の中心であるならそれでも心配しませんが、決してそうではありません。このコロナ禍において、世界で活躍する日本人、国内外においていったいどんな取り組みがなされているかを参加者に伝えたい。海外事情を知るHALF TIMEが国内外のスポーツビジネスの架け橋になれれば……と考えています」とここでも明快なビジョンを伝える。


海外に興味を持ち、国外に出る若者が減っているという日本の現状にももちろん問題意識を抱いている。


「海外で成功しようと考えている日本人が減っている印象です。戦後、日本が成功した理由は、日本人の反骨心。今の若い世代は、日本が成熟した後に生まれ、先進国の日本で、清潔に食事ができ、綺麗に暮らせ、ハングリー精神がありません。今後、日本の世界的な地位が下がり危機感を持つ時代が来れば、どうしたら世界に出られるか野心を抱く……そんな波がくると思っています。今は、当たり前の幸せは手に入るけども、それではだめだ。満足しているけれども、世界に出て行きたい。そう考える人を増やして行きたい」。


グローバル・ビジネス、スポーツビジネスを舞台に活躍を望む人に向け、そのキャリア構築について、率直にアドバイスを求めた。


■プロフェッショナルな自立したスキルが重要に


「年齢を重ねてから、海外ビジネスについて学ぼうとしても取り返しはつかない。そのセンスは若い頃から気にかけて構築して欲しい」とする一方、日本の雇用制度についても、ドラスティックな変化にも言及。


終身雇用は、終わりに近づいている。企業内でジョブローテーションによるゼネラリストの養成をしても、もうそのニーズはありません。今は、どこも即戦力の採用を考えています。様々な会社で、マーケティングならマーケティングと、ひとつの領域のキャリアを積んだプロフェッショナルな、自立したスキルが必要とされる市場に変遷しています。これはスポーツ業界だけでなく、全業種でも同じです。また、この新型コロナ禍のため、リモートでもマネジメント可能な人材、つまり上司が横にいなくとも、自分で目標設定し、自己管理ができる人材が求められています」と締めくくった。


スポーツ庁は2016年、2019年のラグビーワールドカップ日本開催、2020年の東京五輪開催を念頭に、日本のスポーツ・ビジネスは2025年までに15兆円規模への成長戦略をしいていた。しかし、現実的な成長戦略を提示できないまま、新型コロナウイルスの席巻により、五輪は延期、2021年の開催も風前の灯だ。15兆円どころか、むしろスポーツビジネスは縮小。10兆円さえ見えてこない。


こうした狂飆真っ只中においては、磯田さんのような、これまでにない発想、前例のないモデルを提示できるリーダーが、新しい領域を築き上げて行く以外に、閉塞的な日本スポーツ界の将来はないだろう。


セカンド・キャリアと自身を揶揄しながらも、世界をしっかりと見据える磯田さんと彼が率いるHALF TIMEが築く海外との「架け橋」に期待を寄せたい。


◆【前編】世界的経営は「セカンド・キャリア」


◆【GM Interview】スポーツ界の次世代リーダー、葦原一正ハンド代表理事 前編 スポーツビジネスは「中学3年からの夢」


◆【GM Interview】スポーツ界の次世代リーダー、葦原一正ハンド代表理事 後編 日本における「スポーツの地位向上」とその勝算


著者プロフィール


松永裕司●Neo Sports General Manager


NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ マイクロソフトと毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Director of Sportsなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークとアトランタで過ごし2001年に帰国。

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