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プロ野球は26日から28日にかけて全12球団の開幕3連戦を終え、セ・リーグは阪神、パ・リーグはソフトバンクが3連勝を飾って単独首位に。
楽天・辰己涼介は日本ハム戦の初回、初球から開幕戦先頭打者ホームランを放つと、阪神・サンズはヤクルト戦で1試合2ホーマー、巨人・亀井善行がDeNA戦の9回裏に代打サヨナラアーチを決めるなど、“空中戦”となった開幕戦。
ここでは、データをもとに今週のPickupプレイヤーを紹介していく。
◆セ・パ打率TOP5好不調トレーダー 「柳田悠岐の豪快弾など“空中戦”の開幕3連戦プレイバック」
■セ・リーグ
佐野恵太(DeNA)
大卒4年目だった昨季、チームの主将&4番打者に抜擢されると、いきなりシーズン20本塁打を放つとともに打率.328で首位打者のタイトルを獲得した。前年に89試合に出場して打率.295をマークして飛躍の予感を漂わせていたとはいえ、周囲の予想を遥かに上回るスピードで一躍、スターダムにのし上がった。
その佐野の昨季打撃成績を細かく見る。対戦チーム別の打率では、広島戦の打率.356が最も高く、以下、阪神戦(打率.341)、ヤクルト戦(打率.341)、中日戦(打率.309)、巨人戦(打率.284)と続くが、それほど大きな差があるタイプではなかった。
しかし、球場別で見ると、本拠地・横浜で打率.351の好成績を残し、マツダスタジアム(打率.408)、神宮(打率.333)で高打率も、ナゴヤドーム(打率.292)と甲子園(打率.273)では打率2割台で、東京ドームでは打率.217と抑え込まれた。
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迎えた今季は、開幕カードで東京ドームでの巨人戦に臨み、11打数3安打の打率.273。これだけを見れば平凡だが、昨季の東京ドームでの成績と比べると今季は好スタートだとも言える。そして今週はヤクルト、広島を相手に本拠地・横浜での6連戦に挑む。昨季の流れをそのまま持ち込めれば、“爆発間違いなし”だ。
■パ・リーグ
吉田正尚(オリックス)
豪快なフルスイングを武器にヒット&アーチを量産する日本球界を代表するスラッガー。昨季は4年連続で打率3割をマークするだけでなく、打率.350(14本塁打、64打点)で自身初の首位打者に輝いた。
評価すべきは、打者として高いレベルにありながら年々、進化していることだろう。プロ1年目は63試合、2年目も64試合と怪我によって離脱する時期が長かったが、3年目の2018年からは3年間全試合に出場。2018年に26本塁打、2019年に29本塁打を放つとともに、打率を.290から「.311→.321→.322→.350」と右肩上がりにアップさせている。相手からのマークが厳しくなる中、それを上回る技術、パワーで優れた数字を残してきたのだ。
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このように毎年、進化しながら安定した成績を残してきた吉田だが、開幕直後に限っては数字が芳しくなく、スロースターターの傾向が強い。故障で7月が自身の開幕となった2017年も含めて、プロ入り以降の5年間でシーズン最初の出場10試合を終えた時点で打率3割を超えていたことがない。
2019年は打率.154と苦しみ、最終的に打率.350だった昨季も10試合目までは打率.270だった。今季も開幕3試合を終えて10打数2安打の打率.200、1本塁打、2打点だったが、吉田にとってはこれが通常運転だとも言える。爆発が待ち遠しくはあるが、ソフトバンク、楽天と続く今週も、まだしばらくは低空飛行が続いても、納得する。
記事提供:ベースボール・タイムズデータ提供:野球DB