【サーフィン】コロナ禍の影響で躍進したジュニア世代、女子サーフィン界は10代が面白い | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【サーフィン】コロナ禍の影響で躍進したジュニア世代、女子サーフィン界は10代が面白い

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【サーフィン】コロナ禍の影響で躍進したジュニア世代、女子サーフィン界は10代が面白い
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女子グランドファイナルに10代が3名進出


10月31日から千葉県一宮町釣ヶ崎海岸で行われた第2回ジャパンオープンオブサーフィンは、男子が地元・一宮出身の大原洋人、女子がハワイで生まれ育った前田マヒナが優勝した。日本のトップ選手が出場した大会で戴冠した2人はともに20代だが、女子では10代のジュニア世代が躍進した大会だった。


今大会は、各ラウンド1位と2位が上位ラウンドのメインラウンドに進み、3位と4位が下位ラウンドの敗者復活ラウンドに進むダブルエリミネーション方式で行われた。敗者復活ラウンドでは3位か4位になれば敗戦だが、誰でもミニマム2ヒートは戦えることになる。最終的にはメインラウンド上位2名と下位ラウンド上位2名が対戦するグランドファイナルで勝者が決定する。


女子のグランドファイナルに進んだ4名のうち、優勝した前田を除く3名が10代。そして、11月7日に誕生日を迎える12歳(大会当時)の池田美来が、敗者復活ラウンドファイナルの一歩手前まで勝ち進む快進撃を見せた。この池田は、11歳でプロ資格取得したサーフィン界期待の星。今大会では、残り1分を切ってからの逆転劇を2度見せる強心臓ぶりも見せつけた。



敗者復活ラウンドファイナルの一歩手前まで健闘した池田美来 (C)ジャパンオープンオブサーフィン



東京五輪の代表候補に名を連ねるジュニア世代


それではなぜ今大会では、10代の女子が強いのか。その答えを一般社団法人日本サーフィン協会副理事長で、大会実行委員長を務めた井本公文氏が明かす。


「コロナ禍で五輪が1年延期になった中で、明らかに頑張っていたのがジュニア世代でした。この1年のおかげで、本来なら15歳、16歳で五輪イヤーを迎えるはずだった子たちが、この1年で成長してメインの年代になりました。他の競技もそうですが、若い女子は1年で変わるので、それが顕著に表れたと思います」。


今大会で16歳だったのは中塩佳那。敗者復活ラウンドファイナルで3位となり惜しくもグランドファイナルへ進めなかったが、十分に存在感を示した。彼女も今後が楽しみな逸材だ。



グランドファイナル進出ならずも存在感を示した16歳の中塩佳那 (C)ジャパンオープンオブサーフィン



サーフィンの東京五輪日本代表はこれから決まるが、その最終選考の場となるのが2021年5月にエルサルバドルで開催予定のISAワールドサーフィンゲームス(WSG)。日本からは、女子が18歳・松田詩野と19歳・都筑有夢路の10代コンビに今大会の優勝者・前田マヒナを加えた3人が出場する。松田は2019年のWSGでアジア人最上位となり東京五輪条件付き出場権を確保した。



2連覇を狙った18歳の松田詩野は今大会4位 (C)ジャパンオープンオブサーフィン



都筑は、2019年に日本人初の18歳以下のジュニア世界一に輝き、なおも世界最高峰のサーファーが集うワールドサーフリーグ(WSL)の中でも限られた選手のみが戦うチャンピオンシップツアー(以下、CT)入りを決めた超有望株だ(注:CTの2020年シーズンは中止となり2021年シーズンが2020年11月から開催予定)。CT入りがどれだけすごいことかと言うと、野球の世界で例えるなら高卒でいきなりメジャーリーグに挑戦するようなものと言っても過言ではないだろう。


東京、パリ、ロサンゼルスへ…日本女子サーフィンの可能性


もちろん、10代が簡単に通用するほど甘くはない世界だ。世界の猛者と肩を並べて戦うためには、パワーと経験が必要になってくる。CTで活躍するトップレベルの選手は、20代半ばから30代が多い。世界で活躍するという視点から見れば、日本人ではハワイで生まれ育った前田のようなパワータイプが実績を残せるかもしれない。


日本の女子サーフィン界では、若い世代が着々と育っている。先述の井本氏が「(ジュニア世代は)一番力を入れています。今後はさらにやっていきます」というように、これからの若手が育つ土壌ができつつある。


今はコロナ禍のため海外遠征もままならないが、生活が日常に戻り、海外での試合経験を積み重ねていけば、若い世代が確実に台頭してくる。そうすれば、東京五輪はもちろん、パリ、ロサンゼルスと続く五輪で、日本女子がサーフィンでメダルを獲得するのも夢ではないかもしれない。



左から、村上舜、松田詩野、都筑有夢路、前田マヒナ、大原洋人 (C)ジャパンオープンオブサーフィン



著者プロフィール
<文:一野洋 スポーツライター>
青山学院大学を卒業後、米軍厚木基地に就職。その後、NFLを題材にしたライターを目指して渡米。アメリカでは寿司職人を経て、日系フリーペーパーの編集者となりNFL、MLB、NBAなどを取材。帰国後はNFL日本語公式サイト、海外競馬サイトのディレクション業務などに従事した。現在は、NFL、Xリーグ、サーフィン、海外競馬、ゴルフ、テニスなど様々なスポーツを扱うスポーツライターとして活動中。

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