1月22日、テニスの全豪オープンで女子シングルス2回戦が行われ、世界ランク36位のキャロライン・ウォズニアッキ選手が、同21位のダヤナ・ヤストレムスカ選手に7-5、7-5で勝利した。
元世界ランク1位のウォズニアッキ選手は、昨年12月に自身のインスタグラムで引退宣言。今大会が現役最後の勇姿になる。
The ROAR of a champion
#AO2020 | #AusOpen | @CaroWozniacki pic.twitter.com/U1YniJRLgI
— #AusOpen (@AustralianOpen) January 22, 2020
1-5から大逆転で第1セット奪取
両者は昨年のウエスタン・アンド・サザン・オープンでも対戦し、そのときはヤストレムスカ選手が勝利した。再戦となった今回の試合では、序盤からヤストレムスカ選手がブレークに成功し、第1セットでウォズニアッキ選手をゲームカウント5-1まで追い詰める。
成長著しい19歳の勢いに飲み込まれたかに思われたが、世界1位に71週間君臨した元女王は冷静に相手を見ていた。
「彼女は本当に飛ぶようでしたし、とても強く正確にショットしてきました。どうしたらいいのか分かりませんでした。ミスが増えてきたので、ボールをもう少し深く返し始めました。観客も後押ししてくれましたね」
大逆転で第1セットを落としたヤストレムスカ選手だが、気持ちを切り替え第2セットでも再び先にブレーク。先手を取ってリードした。しかしウォズニアッキ選手もブレークバックに成功し、その後は競った展開が続いた。
最後はヤストレムスカ選手のフォアがラインを越えて決着。勝利したウォズニアッキ選手はコート上インタビューで涙声になり、応援してくれたファンへの感謝を口にした。
「とてもタフな試合でした。私のお気に入りのコートで、素晴らしい観客の前でプレーできるのは特別です」
“It’s a little emotional for me.”@CaroWozniacki thanks the crowd on Margaret Court Arena for helping her through a tough second round match#AO2020 | #AusOpen pic.twitter.com/qklQ5qdW09
— #AusOpen (@AustralianOpen) January 22, 2020
コート外にテニスよりもやりたいことを見つけた
ウォズニアッキ選手は2010年にデンマーク人として男女を通じ初の世界ランク1位を獲得。このシーズンは年末まで世界ランク1位を守り通し年間最終ランキングも1位で終えた。2018年には全豪オープンで悲願の4大大会初優勝も果たしている。
世界ランク1位の獲得と4大大会の優勝。テニス選手として最高の栄誉を両方とも獲得した自身のキャリアを、ウォズニアッキ選手は「両方とも達成した人はほとんどいないので非常に誇りに思っています」と語る。
だが全豪オープンから数ヶ月後、ウォズニアッキ選手は自身の健康問題に直面する。全英オープン後に膝関節の痛みを感じるようになった。
「最初はインフルエンザだと思っていた」が、症状は酷く起床後に「腕を頭よりも高く上げることができない」ほどだった。診断は自己免疫疾患の関節リウマチ。
「最初はショックでした。自分は最高の選手なんだと思っているときに突然、このことと付き合わなければならなくなったからです」

(c)Getty Images
最初は自分に弱味があることを対戦相手に知られたくないと公表をためらったが、現在は同じ病で苦しむ人たちに力を与えようと頑張っている。オーストラリア版ESPNが最後の全豪オープンに挑むウォズニアッキ選手の言葉を伝えた。
「私はロールモデルになりたいんです。この病で苦しんでいるほかの人たちにも、自分がやろうと思うことは何だってできるということを示したい」
ウォズニアッキ選手は引退と自身の健康問題に直接的な関係はないと否定する。世界ランク1位と4大大会での優勝を達成し、コート上に夢見たことは実現してしまったあと、コートの外にもっとやりたいことを見つけた。それをやるべき時だと感じたのだそう。
それが自身も患ってる関節リウマチへの関心を高めるプロジェクトだった。今後は元NBA選手で夫のデビッド・リーさんと共に活動していく。
「これはお別れではありません。これからの私のエキサイティングな旅を皆さんと共有できることを楽しみにしています」
将来的な復帰の可能性については、「10年後にカムバックして『二度と戻ってこないと言ってたのに』と言われるのは聞きたくない」と否定した。
コートの外でも慕われる人格者
ウォズニアッキ選手はコート上での功績だけではなく、コート外での素晴らしい人柄でも愛された。自分たちの経験を次の世代に伝えていくことが大事と考え、ツアーに参戦したばかりの若手をよく気にかけていた。
最近では大坂なおみ選手が「最初に連絡先を教えてくれたトップ選手だった」と思い出を語っている。
親友のセリーナ・ウィリアムズ選手もウォズニアッキさんの引退を惜しむ。
「彼女はグランドスラムの優勝者で、世界ランク1位も獲得したツアー最高の選手の1人です。それは決して簡単なことではありません。また、彼女はコートの外でも素晴らしい人物でした。女子テニス界、特に私にとっては大きな損失です」
両者ともに勝ち上がれば、ウォズニアッキ選手とウィリアムズ選手は4回戦で顔を合わせる。

(c)Getty Images