2015年のラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会は、イングランド代表にとって悪夢のような体験となった。
地元開催で大きな期待をかけられながら予選プール敗退。プール敗退はイングランド史上初で、開催国のプール敗退も初めての出来事だった。
大きな批判を浴びたイングランドは、同大会で日本代表を躍進させたエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)と契約を結び、史上初の外国人指揮官を招へいした。
プロップのダン・コールはジョーンズHCに信頼
イングランド大会で全4試合にプロップ(PR)として出場したダン・コール選手は、代表チームで自分のやるべきことに悩んでいた。そんな彼とジョーンズHCは膝をつき合わせ、じっくりと話し合った。
「エディーは私に、君の仕事はスクラムを押し、タックルをし、モールエリアでフィジカルをリードすることだと言いました。30メートルのパスを投げたり、ウイングにチップキックを蹴ってくれとは言いませんでした」
与えられた場で全力を尽くす。指揮官がコール選手に求める役割は明確だった。
「そのポジションで何をすべきか正確に伝えられれば、何に集中し、達成すべきかが分かります。エディーには明確な目標があります。私たちには目指しているものがあります。全員がチームとして仕事をすれば、残りのことはついてくるでしょう」
ジョーンズHCは瞬く間にイングランド代表を立て直した。欧州6ヶ国対抗戦(シックス・ネイションズ)では2016年、2017年と連続で優勝。特に2016年はグランドスラム(全勝優勝)を達成している。
イングランドがシックス・ネイションズでグランドスラムを達成するのは、W杯で優勝した2003年以来のことだった。
「エディーの言葉には全て意味がある」とコール選手はジョーンズHCに信頼を置く。