国際興業のサイクリングバスは全長12mの最新豪華バス。ボディトランクに専用の積載キットが装備され、高価なカーボンバイクも傷つくことなく収納できる。
当初はフレームのエンド部分を固定するタイプだったが、今年になって改良型が導入された。客室後部のサロンにも数台の輪行袋が積載可能で、自転車を預託して乗り込めるのは30人前後といったところだ。
同社によると「首都圏のサイクリング愛好家が快適な場所で自転車を楽しみたいというニーズは多く、一時代を風びしたスキーバスのような存在に成長してくれれば」とサイクリングバスツアー企画の動機を語っている。
参加者は新宿駅近く、東京駅八重洲口近くにある同社の本社まで愛車を持って集合する。駐車料金の上限が設定された時間貸し駐車場に自転車を積んだクルマを乗り入れて来た人。自転車を輪行袋に入れてラッシュ前の電車を利用してやってきた人もいる。もちろん自宅から走ってきた人も。
つまり、東京発着の観光バスに乗って、交通量の少ない郊外でのんびりサイクリングしたいという人にはうってつけのツアーなのだ。
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目的地に到着後、交通量の少ない快適コースへ
愛車を傷つけることなく収納したバスは、関東近郊の目的地へ。ここで自転車を組み立ててサイクリングに出発。40~100kmを走ってゴール地点となる温泉施設へ。身体の疲れをいやして帰路に着く。
「クルマの運転ができない人にとってはうれしい」と女性参加者。「ショップの週末行事にも利用できる」と自転車店スタッフ。「サイクリングして疲れた体でクルマを運転しなくてもいいのが魅力」とベテラン愛好家。都内の帰着後に輪行して帰るのならば、ビールも飲めるだろう。
■一般的にはバスに自転車は持ち込めない
電車とともに便利で格安な公共交通機関のバスは、自宅近くのバス停と駅などを結ぶ「一般路線バス」と、主要都市を高速道路で「高速バス」がある。
「一般路線バス」は手回り品(手荷物)の大きさや重さに制限がある。バスに持ち込んでいいのは「長さ1m、重量10kgの条件を満たすもの」。つまりコンパクトに折りたためる一部の折りたたみ小径車以外は不可だ。
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ツアーを利用し、茨城路100kmを走った健脚サイクリスト
長距離運行の「高速バス」も残念ながら自転車は輪行袋に入れても原則として持ち込めない。ただしバス会社や路線によっては可能なケースもある。空いている時期や路線でトランクルーム(荷物室)に空きスペースがある場合に限り、輪行袋の持ち込みが可能になることもある。ルールとしては持ち込めないが、現場レベルの人情でおおめに見てくれるといったところだ。
バス運行や富士屋ホテルなどの経営で知られる国際興業は自転車との関わりも深く、日本で開催されるアジア選手権の運営や自転車ナショナルチームの海外派遣などを担当。ツール・ド・フランスの1区間を走るエタップ・デュ・ツールでは日本唯一の公式エージェントとして指定されている。