ドレスアップ系の展示が目立つ東京オートサロン会場で、パイオニアは「自動運転、高度運転支援への取り組み」として、高精度なシミュレーターを使ったデモの体験コーナーを用意した。今後益々進化していく自動運転支援の世界をいち早くバーチャル体験できるコーナーとして注目を浴びた。
会場に設置されたシミュレーターは、200インチはありそうな、巨大なスクリーンの元で展開される。2015年の東京モーターショーに同社のHMIテクノロジーを体験できるシミュレーターをベースに、自動運転モードを再現するモードを追加したシステムとなっているのが特徴だ。
運転席に座るとカメラによってそれが誰なのかを認識し、登録が終わるとシミュレーションがスタートする。シートに仕組まれたセンサーにより脈拍や呼吸などを把握し、カメラは瞼の状態をチェックしてドライバーの健康状態も常に監視し続けるのもポイントだ。
走り出すと手動走行から自動走行に切り替わる際の様々なシチュエーションが体験できる。自動走行に入るとシートポジションが後ろへと下がって寛ぎモードへと変化し、同時にエンタメを再現するディスプレイも視認しやすい位置へと上昇する。しばらくすると何やら良い香りが漂ってくる。ドライバーをより和ませるためのアロマが動作したのだ。
しばらくすると、手動運転に切り替わることがドライバーへ知らされ、シートポジションは元の位置へ自動復帰。ここからはナビゲーションの案内に従って目的地へと進んでいく。ステアリングの操作部には必要な機能だけが浮き上がって来る独自のインターフェイスを備え、前方にはヘッドアップディプレイを通した様々な指示がアサインされて目的地へと誘導する。
このシミュレータは画面サイズが超大型であるため、体感したときのリアル感が違う。映像の造り込みも素晴らしく、体感中はまるで実体験をしているような感覚に囚われたほどだ。実はこのシミュレーター、同社には計2台が存在する。同社 自動運転事業開発室 事業企画部の下平真武氏によれば「OEM向けに商品を説明する際、パーツだけを見せてもなかなか実感しにくい。そこで海外向けと日本向けの2台を用意した」のだという。
当然ながら海外向けは左ハンドル仕様で、日本向けは右ハンドル仕様となる。オートサロンに出展したのはこの日本向けの仕様で、今月初旬にCESで再現されたラスベガスではなく、東京駅を目的地とする日本の風景を取り込んだものとなっていた。
【東京オートサロン2017】巨大スクリーンを使い、自動運転の世界をリアル体感…パイオニア
《会田肇@レスポンス》